日本の食料、食品は大丈夫ですか?


―食料安全保障とはー

 現在経済成長著しいBRICsのうち、多くの場合ブラジル、ロシア、インドは日本にとってまだ特別な関係でありません。特に食料・食品に至っては、ブラジルを除いてはほとんど日本と関係はありません。しかし、中国は日本と圧倒的な関係にあり、表【中国からの輸入農林水産物の推移と国内農業産出額の推移】でも分かるように、林水産物を加えると日本の中国からの食料輸入額は米国に肉薄する水準にまで近づいてきています。したがって、中国で何らかの食料問題、農業問題が発生すれば、日本に大きな影響が現れることが予想されます。日本の食料安全保障は、従来は米国の手中にあると言われてきましたが今では中国の手中に移りつつあると言ってもよいかもしれません(表1,2)。

表1 主な農産物輸入国
出所:農林水産省
表2 各国の日本への主な輸出農産物
出所:農林水産省

 表1,2から類推できることは、アメリカからはトウモロコシ・大豆、畜産物などの主に穀物輸入、中国からは主に冷凍・生鮮野菜などの軟弱農産物の輸入が主で、すみ分けが出来ています。

 ところで、米国から中国に日本の食料・食品(特に冷凍・生鮮軟弱野菜)の多くを任せて大丈夫でしょうか。自動車や石油などと違い、食料は命を支えるものですから、いろいろな意味で最優先で確保、供給されるものでなければなりません。 食料安全保障の内容を確認してみたいと思います。


 食料安全保障には2つの大きな側面があります。それは、
  1.  量的安全保障
  2.  質的安全保障 

と言われるものです。


 1.の量的安全保障が意味することは、日本人がいつでもお腹いっぱいご飯が食べられることを意味し、2.の質的安全保障とは、食べる食べ物が農薬や他の化学薬品で汚染されておらず、健康に害をもたらさないものであることを意味しています。

  • の量的安全保障確保については若干話が複雑になりますので、2.の質的安全保障の確保が中国食料・食品で可能かどうかを考えてみたいと思います。

ここで、陳恵運著「わが祖国、中国の悲惨な真実」2006の一部を紹介することで、中国の食に対する基本的な立ち居を確認しておきたいと思います。 

 『「我々は何を食べたらいいのか」 真っ黒な革靴と牛乳に何の関係があるかと聞かれても、ほとんどの人は何を言っているか分からないだろう。
 中国では、壊れて使えなくなった真っ黒な革靴を原料として、靴のかけらなどを混ぜて、真っ白な牛乳を合成する「発明」があるのだ。このような人工合成牛乳は、北京をはじめ上海、河南省など多くの地域で販売されている。偽牛乳にはタンパク質と脂肪はほとんど含まれておらず、有害物質だけを含んでいる。
 他にも中国には人工的に卵を作る発明がある。これも、各種の化学原料を材料として合成する。この偽卵の作り方を教える学校もあり、有料で作り方を伝授している。こういった卵は、食べると痴呆になる可能性が高いと言われている。
 このような牛乳や卵を食べる勇気があなたにあるだろうか?
 90年代の江沢民時代に、工業用アルコールで作られた白酒で数十人がアルコール中毒になり死亡したり、重い後遺症が残ったりする悲惨な事件があった。この酒は、今でも無くなっておらず、正月や大型連休のたびに摘発されている。これは、地方政府が偽酒の製造を黙認しているためで、物価検査監督機構の取締にも協力せず、裏で捜査の情報を工場に伝えているのだ。

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 中国国内での偽物の浸透速度は経済発展の速度に勝るとも劣らない。2004年、中国国内は劣化粉ミルク事件で大騒ぎになった。
 中国の女性は、赤ちゃんが生まれるとさまざまな理由で授乳せず、粉ミルクで代用することが多い。この年、中国安徽省阜陽市では171人の赤ちゃんが栄養不良に陥り、頭が異常に大きくなり、体は全く成長しない症状が発生した。うち、13人が死亡し、他は重い後遺症を患った。これらの栄養不良症候群の原因となったのが、地元のスーパーや商店で販売されていた粉ミルクだったのである。
 阜陽市の調査で、地元だけで劣化粉ミルクが55種類発見された。劣化粉ミルクは8カ所の自治区や市にあるメーカーが作ったもので、品質鑑定では、劣化粉ミルクの栄養価は小麦粉より低く、栄養価値はほとんどなかった。
 この事件は中国の(東方朝刊)や中央テレビ局の報道で世間に知れ渡った。
 中央テレビ局には〈毎週品質報告〉という番組があり、毎週日曜日の12時半からの25分間、中国各地の食品の品質について取材した内容を放送する。劣化粉ミルクの件も、この番組内で報道された。この番組によって国内の品質偽装を知ることができるため、非常に人気が高い番組となっている。 食品の偽装に関する報道がなされ、摘発された事件を以下に掲げておく。

 中華ハムを製造する際に、ハエなどを駆除するために猛毒の農薬を入れた、中華ハムの工場。安価なキクラゲを防虫用の硫酸銅、下剤用の硫酸マグネシュウム液に浸し、重さを増やしてから、さらに黒で色を塗って、高級な黒キクラゲにみせかけた工場。賞味期限を過ぎて変質して臭くなったソーセージを回収し、色素、添加物を入れて新たなソーセージを加工してい工場。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
 食品は、私たちが毎日口に入れるものであり、人間の健康に直接関係がある。食用としては禁止された工業用の原料を食品に入れると、人体に甚大な被害を与える。また、前述の摘発された生産工場は、一つや二つではなく、少なくても数十カ所あり、被害は中国の各地、世界各国に広がっている。中国の国民にも多大な不安を与え、軽視できない問題であるため、中央テレビ局は放送を続行している。
 日本に輸入されたホウレンソウなどの中国野菜に多くの農薬が残留していた件や、輸入されたエビ、上海ガニに大量の抗生物質が含まれていた件などは日本の報道でも取り上げられ、記憶に残っている人もいるだろう。
 毎年10月以降、上海ガニを食べることを週間としていた私だが、すでに7年間上海ガニを自粛している。使用禁止の抗生物質が上海ガニに投与されていることを知ったため、怖くて食べられないのである。
 いくらこういった工場を摘発しても、改善の見通しはつかない。多くの工場の生産は地方政府の収益と関係がある。工場が利益を上げられなくなると、地方政府の減益につながるため、地方政府は取締に消極的なのだ。さらには、隠蔽、庇護をして、摘発を阻止するための手伝いをすることさえある。中国の体制を根本的に変え、集団的な犯罪行為の温床そのものをつぶさない限り、中国の国民の被害は避けられない。
 「我々は明日、何を食べられるのか」という中国の国民の悲鳴が、あちこちに満ちあふれている。利益を求め、道徳が荒廃した中国では、食事すら安全に取ることができない。下水道から取り出された油で揚げたパン。リンパ腺を含む豚の廃棄物で作った肉まん、オキシドールで還元されたフカヒレ。工業用油脂で加工したご飯。色を染めた有機茶葉。カビが生えたピーナッツで作ったゴマジャン。工業香料、サラダ油、綿美油で作った胡麻油。オキドールや工業色素で加工した干しエビ。殺虫剤で加工した魚。ホルマリンに浸した新鮮魚などなど。日常生活のたべものを、いつも心配していなければならない。一生懸命働いて買った食べ物に恐怖。不安を感じながら食べるということが、どれほどつらいか、日本人には絶対にわからないだろう。
 私は中国に行った場合は、常にスーパーマーケットや自由市場に取材を兼ねて買い出しに行く。買い物客、店員や売り主の話を聞くために、いろいろな質問をする。その際、何回も質の悪い食べ物を買った。
 例えば、親戚の家の近くのスーパーマーケットで買ったタチウオは、見た目は新鮮で、品質が良さそうに見えたが、家に戻ってから1時間後にはタチウオの身がボロボロになり、すでに腐敗が始まっていた。親戚の話によると、このタチウオはホルマリンに漬けられているために、数時間は新鮮な姿だった。普通、ホルマリンは死体の保存等に使われる薬品だが、中国では食品をきれいにみせるために使われており、私は唖然とした。
 親戚が偽の果物で全身に湿疹がでた。同じような偽果物を食べて、命を落とした人もいることを新聞で知り、非常に恐怖を感じた。
 私は、露店で食べることが好きだったが、現在は中国に行っても露店はもちろん、外食や買い物も小さな店には絶対に行かないことにしている。劣化した食べ物は、伝染病の原因にもなる。以上、上海ではこういった場所が肝炎の大流行の元凶となっていた。
 これらのエピソードを、日本人はおそらく信じることができないと思う。日本の消費者優先の厳しい市場原理からすれば、こうした商行為をする者は、たちまち市場から排除されるから。しかし残念ながら中国ではそうではない。中国国民のおかれている現状を見るにつけ、自分だけが安全な日本に住んでいることを後ろめたく思う。
 中国の指導者たちは、このような食品を食べることはない。なぜなら、彼らの家族は自由市場やマーケットに行かないからだ。彼らは専門の養殖場や農場を持っており、安心できる食べ物を手に入れることができる。そのため、国民が接している危険、不安、悩みには全く興味はなく、中国の異常な繁栄しか見ていないのである。
  ここから私たちは何を読み取ることができるでしょうか。確かに中国加工食品メーカーの約70%は政府監視下にあるかもしれませんが、残り30%のメーカーへの目は行き届いていません。食品加工の面でこうした不安がある一方、食材自体への不安もあります。私たちは、こうした食の質の問題を抱える中国に大々的に食料供給を依存しようとしています。勿論、圧倒的な低価格があったればこその話ですが、しかし、日本国内の食料よりも、安い中国食料・食品を優先して購入する消費者がいる限り、中国からの大量食料・食品輸入は無くならないでしょう。


 しかし、こうした消費者また、やむにやまれずこうした廉価な食材を購入するしかできないという現実も直視しておく必要があります。


 一例ですが、経済が浮揚せず、ワーキングプアが増えている現在、彼らは好むと好まざるとを問わず、安い中国製品を選択することでしょう。
 一方、中国の金持ちは日本の「魚沼産コシヒカリ」に、金に糸目をつけず、破格の価格で購入しています。日本の10倍の人口規模の中国のほんのわずかな%の人が「魚沼産のコシヒカリ」を購入したとしても、その量は莫大なものになり、一般の日本人の口に良品質な食材は入らず、中国の安い食材を買い求めるといった、笑い話にもならないようなことが現実になる可能性も否定できません。


 急激に膨張し、拡大する中国食材・食品輸入は数十万トンにのぼり、検査はほんの一握りしか行われず、質の安全が維持できるのか、ポジティブリスト制度が発足している現在もなお、不安がいっぱいです。皆さんの健康が保たれますように、お祈りしています。
 食の質的安全保障は、現在大きく揺らぎ始めているのではないかと危惧しています。
 食の量的安全保障については、また後日に議論したいと思います。

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