国際法無視と今後の世界の行方


 ロシアがウクライナ侵攻を始めてから何が大きく影響を受けたかと言えば、国連の安全保障理事会の常任理事国のロシアによって国際法が無視され、国際秩序が抜本的に壊されたことにあります。

確かに2013年、中国による南シナ海のジョンソン南礁の埋め立てが始まり人工島が次々と建設され、国際仲裁裁判所の判決にも関わらず中国の南シナ海の実効支配が本格化する中、既に南沙諸島では南沙人工島海洋基地群が建設され、国際海洋法条約に反して九段線海域は中国の領土とする宣言がされています。ベトナム、フィリピン等ASEAN諸国の抗議に耳を傾けることなく一方的な現状変更が進み、中国の軍事的脅威が日増しに増すなかで、こうした力を背景にした現状変更に不快感を唱える国は多くあります。

しかし、中国のこうした国際法違反はまだ国対国の戦いではなく、局地的な領有権紛争ですが、ロシア・ウクライナ紛争は文明国どうしの完全な“戦争”状態に突入したものであり、この戦争突入によって国際法が無視されたことに大きな意味が含まれているように思われます。

 この紛争を通じて言えることは、第一次、二次世界大戦など多くの戦争を教訓に国際社会が設けてきた様々なルールが、ある国にとって都合が悪くなればある日突然、一方的に破棄、無視しても良いという前例になりかねないところに大きな問題があります。

 国連憲章によれば、「加盟国は武力による威嚇または武力の行使を慎まなければならない」とあり、欧米はロシアのウクライナ侵攻を非難しますが、ロシアの立場に立てば、「国際法は目的を遂行する上でロシアにとって足枷であり、ロシアが独立を承認したウクライナ東部の新ロシア派支配地域の平和維持のために集団的自衛権行使の目的を貫徹するためには国際法を無視してもかまわない」ということであり、今でもロシアは侵攻を継続し、国際法は形骸化しています。

図1 国際連合
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1931年9月、満州事変が勃発し、その後清朝のラストエンペラーだった宣統帝・愛新覚羅溥儀(あいしんかくらふぎ)が皇帝(満州国の君主)として擁立され、1932年3月1日、満州国が建国されました。

1932年10月1日、英国人ヴィクター・ブルワー=リットン卿を団長とする「リットン調査団」による、「リットン報告書」が国際連盟に提出され、『満洲事変は「自衛の行動」だとは認めないが、日本が満洲に持つ権益は尊重した上で、独立国ではなく中国の満洲地方の「自治政府」として、日本人を含む外国人顧問をその自治政府に付随させる』ということが提言されました。しかし、この提言に対して日本政府は「受け入れがたい」として拒否し、ここに日本に有利な解決の道は閉ざされることになります。

 国際連盟は日本の要求をほぼのみ、ただ「自治政府として外国人顧問を自治政府に付随させる」とい

う条件が国際連盟の条件であり、名を捨て、実を取ることができなかった日本は、孤立、戦乱の道へと

進むことになりました。

 日本の妥協を許さない飽くなき要求が、その後の日本の進路を決定づけたとも言えます。

1933年2月、提言覚め止まない中、関東軍は日本政府の万里の長城(ちょうじょう)以北という条件

付き承認の下で「熱河作戦」を開始しました。しかし同年2月24日、国際連盟から強い反発を受けて満州国は否認され、満州事変以降の責任を問われた国際連盟の“常任理事国”であった日本政府は、1933年3月27日、「国際連盟脱退」を決意することになります。

図2 日本の国際連盟脱退
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一方連盟脱退をも辞さない軍部は「熱河作戦」を強行し、4月には万里の長城線を越えて軍事侵略を河北省に拡大、これに対して対日妥協策をとる中国政府は日本との停戦を求め、5月31日「塘沽(タンクー)協定」を結び、河北省北東部に非武装地帯を作り、「満州国」は黙認されました。

日本の国際連盟脱退は、日本の要求・提言に国際連盟が強い反発を示したからであり、その状況は今日のロシアの要求に対する国際連合の反発に似たものがあると思われます。

その後日本は第2次近衛文麿内閣で「大東亜新秩序建設、新体制確立、日独伊の連携強化、南方武力侵攻」を基本戦略として1940年に北部仏印進駐、日独伊三国同盟を締結しますが、これに対して連合国側は1941年、A(アメリカ)B(イギリス)C(チャイナ)D(オランダ)包囲網を形成し、日本への産業の基礎となる石油輸出禁止など、日本との対決姿勢を鮮明にし、第2次世界大戦へと歩を進めることになります。

現在のロシアに妥協がありません。第二次大戦までの“帝国主義”を彷彿とさせるものがあり、ウクライナの併合を画策しています。そしてこの行動に対して、西側諸国は一致して反発し、ロシアの脅威に対峙しようとしています。

日本が国際連盟を脱退したのは1933年で、その後1941年で第2次世界大戦が始まりますが、その間約8年、その間に世界は2分され、日独伊枢軸国と連合国側に分かれますが、現在の趨勢は、ロシアが国連を脱退する方向に流れつつあります。

勿論、国連にロシアのような国に制裁を科す能力はありません。多くの事柄が国連の常任理事国であるロシアの拒否権で機能しなくなっており、まさに機能不全に陥った第1次大戦後の国際連盟の状態に似通ったものが感じられるようになっています。

当時の配役を現在の形に置き換えて見れば、当時の枢軸国の「日本がロシア」、「ドイツが中国」で、連合国が「EU、アメリカ、日本」、そして「中華民国・満州がウクライナ」、「ポーランドが台湾」という色分けができ、「中国の台湾侵攻(過去のドイツのポーランド侵攻)」が合図になって、次の大きな戦いが始まるのではないでしょうか。

そしてこうした世界の2大陣営体制が確立し、色分けできるまでに約10年がかかると見ておけばよいのでしょうか。

 勿論、これらはあくまでも架空のお話ですが、今後の世界の動きを知る上で、現在のロシア・ウクライナ戦争の行方、そして中国の動き、活動を注視していくことは極めて大切ではないかと思われます。

そして、今後10年の間に、劇的な変化が世界に起きる可能性があることに注意しておく必要があると思われます。

皆さんは、日本人のとても素晴らしい“利点”は何だと思われますか。

私は、うすうす感じていたのですが、今回の“コロナ”騒動ではっきりと分かりました。

皆さんは、今回のコロナ対策で、日本人の“マスク”着用率は何パーセント位と予想されますか。私は興味があったので、長い間私の周辺、町中を歩く人、バスの中の人、電車に乗っている人などについて、“マスク着用状況”をチェックしていました。

何と驚くなかれ、ほぼ100%の人はマスクをしておられました(時々マスク無しの人もおられましたが、ほぼ100%マスク着用です)。マスクをしていないのは、時たま“ずる”してマスクをしなかった私くらいで、ほとんどの人はマスクをしておられました(“しておられました”、というよりも、“しておられます”)。

世界各国を見るとき、これは驚くべきことであり、欧米で「マスク着用拒否をする人と警官との小競り合い」などの情報を聞くにつけ、日本人のこの政府のお達しに対する順応、法令遵守の姿勢は、世界で突出して高いことを認識できました。

これはまた、自分が守ることを他の人も守るという状況から、“自分が正しいと思うことは他の人も同様に正しいと思う”という、「信用・信頼」が社会の底辺・基礎にあることを意味することと思われます。

この姿勢、こうした思考が、日本人は法令をよく守り、規律正しい行動をする原点にあることと思います。

しかし、この“美点”が、実は欠点にも繋がって行きます。

一度決められ覚えたことは、善悪は別にしてでも、何時までもしっかりと守り通そうとする性向、状況を見て、臨機応変に対応できないとう態度につながって行きます。

こういうことを言った人がいました。「憲法は国民を守るためにあるのか、それとも国民は憲法を守るために存在するのか」

勿論多くの人は、「憲法は国民を守るためにある」と答えることでしょう。しかしその人はこう言いました。「では今の憲法は国民を守るために機能しているのか、いや今後国民に大きな災いが起きそうなのに、憲法はその災いを取り除くような機能を有しているのか」と。

これは現行「日本国憲法」について彼が指摘したことです。

GHQが制定した「昭和憲法」は、日本国民を守るための憲法というよりも、日本に再び戦争を起こさせないための憲法であり、簡単に言えば、『日本は他国から攻撃・侵攻され、国民が犠牲になっても「戦い」がそれで防がれるのであればそれで良し』とするものであり、国防すら否定するものでした。

世界情勢が急変し、世界秩序が激変しようする時、戦後70年、その憲法が今まで一度も改憲されなかったということは「日本人は憲法を守るために存在している」という言葉が正しいことのように思えます。

憲法が無くても、「国民」が存在すればそれで良いのですが、国民がいなくて「憲法」だけが存在しても何の意味もありません。正しく、日本はこのまま行けば、『日本国民は死滅したが、「日本国憲法」だけは残った』という、世界史上唯一稀な国になる可能性があります。

世界は激変し、今後10年が様々なことを経験する時代になると思いますが、日本国民を守る憲法を日本人の殻を破って、至急臨機応変に創案し、新しい時代に対応させていただきたいものです。

日本政府を注視していくことが大切です。皆さんの意見を中央に申し上げて戴きたいと節にお願いしたいと思います。

未来の子供達、未来の日本のために。

図3 日本の未来
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注:画像は全て無料画像を利用させて頂きました。ありがとうございます。


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