40~50代、学び直しの好機!!


 少し前になりますが、私から見てかなり先輩の方がおられました。そしてその方の華麗な変身を見ることができました。

 彼は長年私立大学の教授をしておられたのですが、70歳で定年を迎え、一旦野に下られました。そこで中小企業診断士の資格を持っている彼は経営コンサルティング事務所を開業し、中小企業の経営コンサルとして活動を開始されることになります。

 彼は大学在職中に中小企業診断士の資格を取得し、深謀遠慮、定年後の第2の人生の人生設計をしておられたのです。

 しかし話はここで終わるのではありません。後年、彼は大学からの要請によって大学の理事長になり、大学の経営者として辣腕をふるわれることになりました。

 50歳から目的を持った勉強をすれば、通常の定年は65歳として、15年間の学びの機会があることになりますから、ほぼどんな資格試験にも受かるとその方は仰っておられました。

 確かにそうだと思います。十年一昔、何でも真面目に十年続ければものになるのではないでしょうか。彼は、そう私に話して下さいました。

図1 起業
出所:フリー画像

 中小企業診断士は経営コンサルタントを認定する国家資格で、中小企業の経営診断・助言を担うことになりますが、一般に事務所を開業する方の多くは、「独立するには経験・知見だけでは足りないので、資格学習を通じて経済、経営・財務、簿記・会計などの見方、作り方などを学んだ」とする人が多い様です。

 現在「人生100年時代」を考えて、長く働く人が増えています。男女ともに、この25年間に約5歳、平均寿命が延びています。

図2 平均寿命の推移
出所:フリー画像

 長く働く働き方は様々ですが、普通の選択肢は、これまでのキャリアを生かして起業や転職というのが一般です。この場合に役立つのが“技能”を証明する「資格」で、「資格」が強力なバックアップ・パワーになります。

 某社長は、「職業人として経験を積んだ40~50代は、資格取得などの学び直しの絶好のタイミングになる」と仰っています。

 ただし、資格は難易度や勉強時間に応じて様々なタイプがあるので、自分が何を目指すのか、キャリアアッププランを立てることが必要で、転職で有利になる資格は、最近ではIT(情報技術)分野が注目されており、IT業界の慢性的な人で不足に加えて企業の業務改革ニーズも強く、IT人材の引き合いは今後も強いものが予想されています。

 また、通常の実務経験に加えてIT分野で高度な資格を有しておれば、採用側にアピールしやすいとのコメントもあります。

IT分野には様々なジャンルがあり、自分のキャリアプランが大切になってきます。ちなみにITエンジニアの代表的なキャリアパスは、

〇プログラマー    :プログラミング言語を用いてアプリやWebサイトを開発

〇システムエンジニア:顧客とアプリ仕様に関する打ち合わせや仕様を設計書にまとめる仕事

〇プロジェクトマネージャー:開発プロジェクトの管理。顧客と打ち合わせで開発スケジュールを決定後、プロジェクトメンバーを選抜し、作業内容を指示。プロジェクト開始後は進捗管理。

 最近注目されているITエンジニアキャリアパスには、下記のものがあげられています。

 〇フリーランスプログラマー

〇ITコンサルタント:IT技術を駆使して企業の問題解決を支援するコンサルタント

〇社内SE

〇セールスエンジニア

〇ITアーキテクト:システム上の課題解決のためにシステムの企画・仕様決定・設計を実施

 また、IT資格のなかでも難関と言われているもので、“ITストラテジスト”という資格があります。

IT技術を用いて企業の経営改革や最適化を策定、提案、実行します(資格も存在し、非常に難易度が高く、それだけに市場での価値も高いです)。企業の経営戦略に基づいてIT戦略を決定し、ITを活用した事業計画、業務改善計画などを中心となって行うのがITストラテジストになります。

IT関連技術が加速度的に進化している現代社会では、経営知識と高度なITスキルの二つを兼ね備えるITストラテジストの人材マーケットでの価値はこれからも上昇することが予想されています。

 ところで、ITコンサルタント、ITアーキテクトなどに資格試験は必要ありません。主なITコンサルタント関連の資格試験の一部を挙げれば、

基本情報技術者、応用情報技術者ITコーディネータ、プロジェクトマネージャ(P2M)、中小企業診断士などが挙げられます。

  ITエンジニアを目指す場合には資格として、マイクロソフトオフィススペシャリスト、②ネットワークスペシャリスト、③プロジェクトマネージャ、④データベーススペシャリスト、⑤CCNA、⑥システムアーキテクト、⑦情報処理安全確保支援士、⑧ITサービスマネージャ、⑨システム監査技術者など、多岐にわたり、よく目標、目的を見極めてターゲットを選定することが求められます。

図3 日本での起業時の年齢
出所:日本政策金融公庫(フリー画像)、2020

 ところで、IT関連はどちらかと言えば若者指向になりますが、中高年で起業を目指す場合、「中小企業診断士、社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー(FP)」などが比較的向いていると言われています。

 FP(ファイナンシャル・プランナー)とは、人生の夢や目標をかなえるために資金計画を立て、経済的な側面から実現に導く方法を「ファイナンシャル・プランニング」といい、ファイナンシャル・プランニングには、家計にかかわる金融、税制、不動産、住宅ローン、保険、教育資金、年金など幅広い知識が必要になります。これらの知識を備え、相談者の夢や目標がかなうように一緒に考え、サポートする専門家が、ファイナンシャルプランナーになります。

 中小企業診断士、社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー(FP)は経験を積んだ中高年が担うにふさわしい内容を多く含み、取り組みやすい資格かもしれません。

 そして専制君主的なロシア、中国とではなく、価値観を共有するアメリカ、EUなどの欧米との国際交流が盛んになることが予想される将来、「英語能力テスト」が大切になり、ビジネス資格として根強い人気のあるTOEICで、海外志向の人は690点以上をとっておけば問題はないように思われます。

 現在、スタートアップ企業が増えています。特に日本では技術系のスタートアップ企業が多く、相対的に経理部門が手薄な様子が見え隠れしています。

 今後スタートアップ企業は増えていくことが予想されますが、それに合わせて経理部門の充実が必要になってきます。

 日商簿記一級などの資格があれば、転職時に評価されやすいのではないかと思われます。

 時代は大きく変わろうとしています。日本は世界から周回遅れでスタートアップ企業が立ち上がりつつありますが、遅かった分、これからの転職、起業に向けて自己陶冶がされるとき、更なる飛躍があなたを待ち構えているかもしれません。

 因みに、学び直しには“公的給付金”が出るようです。雇用保険に加入していれば、一定の条件で利用できるようです。

 対象講座は「厚生労働省」のサイトで確認できます。

図4 教育訓練給付制度
出所:フリー画像

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