転職時代ー転職は是か非かー


 皆さんは転職したことがおありでしょうか。私は転職を経験しました。転職する場合、何も不都合がなければ転職しません。しかし、そこに何らかの不満、不具合があるから転職することになります。

 私の場合は上司とウマが合わなくて退職し転職することになりました。我慢の足りない人間だと思っています。しかし、退職・転職するときには、やはり大きな決断を必要とします。

 転職には基本、3通りのパターンがあり、一つは「別の会社から引きがあって転職する場合」、

二つ目は「求人広告を見て応募し、転職する場合」、三つ目は「引きもなく、あてもないまま自発的に退職し、その後にハローワーク、その他で別の会社を見つけて転職する場合」です。

しかし最近は転職市場が広がり、求人広告を見て応募し、転職を決意される方が増えています。また、キャリアアドバイザーの紹介も安心できるようです。

 「別の会社から引きがあって退職、転職する場合や求人広告を見て応募し、退職、転職する場合」は、転職先と現在の自分が勤める会社との給与差、仕事のやりがい、職場の雰囲気などで転職するかどうかを決めることができますが、私の場合は「引きもなく、あてもないまま自発的に退職し、その後自分で別の会社を見つけて転職する場合」に当てはまり、”前の会社よりも良い条件、待遇で”というようなことは考えず、まずは働くことのできる会社選びから始まります。

しかし様々なことがありましたが、運よく私はお世話になった方から会社を紹介されて新しい会社で働くことになりました。

 「引き」がある場合には、ほぼ生活は保障されますから、転職はスムーズに進むと思われますが、「引き」が無く、自発的に会社を退職した場合には、再就職は比較的困難です。比較的困難と言いますのは、自分に何らかのスキル、何らかの人に秀でる物がある場合には転職はやりやすいのですが、スキルも特殊技能も何も無い場合には以前よりも良い待遇、良いところを求めての再就職することは難しくなり、より好条件の会社を求めて会社の“はしご”をすることになります。

 私は以前の会社を退職するまで、会社が引けた後、何らかの勉強、何らかの形で学び直し、自己陶冶をしていました。退職後しばらくそれまでの勉強を続け、区切りがついたところで再就職しました。

 新しい職場では上司との諍いもなく、気持ちよく勤められたので転職は成功だったのではないかと思っています。

 皆さんの中にも、私と同じように職場の仲間とウマが合わない、働きにくい、また給与が低いなど、様々な不満、問題を抱えておられる方もおられるのではないでしょうか。その場合には、勇気を持って転職される方が良いかもしれません。

 勿論、転職したからといって必ずしも成功ばかりとは限りません。転職することによって転職前に比べて待遇・状況が悪くなることだってあります。したがって、その決断をする場合、決して後悔しないことを心に決めて行う必要があると思います。

 

 そこで私がお薦めしたいのが、現在のスキルの学び直し、またはもう一つ別のスキル、才能を身につけること、それは例えば、写真を撮るのが好きで得意であれば、「カメラマン」としてのスキル、デザイナーに興味があるのなら、「デザイナー」としてのスキル、IT、AIなどに興味があるのなら「情報技術」のスキル、またその他自分が大切と思う分野のスキルなど、自分が取り組んで飽きが来ない、諦めない、また重要と思われる分野のスキルをヒマな時間を見つけてある程度普通の人以上に高めるようにされることをお薦めします。

 しかし自分が希望する分野と他人が希望する分野は千差万別、いろいろなジャンルがあると思いますが、転職は自分が好きな分野、また経験してよく知っている分野への転職になるのが普通です。それ以外では苦痛になり、下手をすると転職が次の転職の繋ぎになってしまう恐れがあります(勿論、それも良いのですが)。

 日本の転職市場は変わってきています。その起点となったのがスタートアップ企業で、大企業からの転職者数は2018年に比べて2021年現在、7倍に増えていると言います。

 あるシステム会社に勤めていた40歳を超える女性(ひと)は、不動産の営業システムを開発する会社に転職することによって、収入が10%アップしたと言います。

 またある男性(ひと)は、大手出版社のデジタル関連の事業を担当していましたが、自由に働けない不満からアプリ開発のスタートアップ企業に転職し、同じ給与水準でやりたい仕事につけて満足と言われています。

 

 若年層向け転職サイト「AMBI(アンビ)」によれば、2021年4~9月に大企業からスタートアップ企業に移った件数は2018年4~9月に大企業からスタートアップ企業に移った件数の約7.1倍になり、大企業、スタートアップ企業の平均年収差も2017年の38.4万円から15.3万円にまで縮小してきており、スキルがあれば、生きがい、自分にあった職場環境を求めて転職は今後進むことが予想されています。

 現在多くの企業でリストラを実施しています。例えば、リストラ実施企業の登録者数が2018年の登録者数を1とした場合、現在青山商事(3.7)、JT(3.1)、ホンダ(2.2)、パナソニック(1.5)、三陽商会(1.2)と多くなっており、コロナ禍が続く中、今後もこの傾向は続くことが予想されますが、このリストラ人員はスタートアップ企業などに吸収され、総体としてみれば失業者数の増加はあまり見られない状況にあるようです。

現在、日本にはスタートアップ企業が少なく、世界はアメリカと中国にスタートアップ企業は集中しているようです。しかし、日本は周回遅れかもしれませんが、徐々にこの分野への取り組みも増えてきています。

因みに現在の世界のユニコーン企業(評価額10億ドル、約120億円以上の未上場、新興企業)を比べると、アメリカ151社、中国82社、インド13社、インドネシア4社、日本1社と、その差は歴然としています。

 この周回遅れの原因は、日本はそもそもトップ大学を出た優秀な人が起業するケースが少なかったり、スタートアップ企業への社会的評価が低く事業運営に失敗した場合のフォローが十分でなく再度のチャレンジがしにくい風潮があったり、日本国内で資金調達できる金額が桁違いに低かったりと、スタートアップ企業が育ちにくい風土があったためのようです。

 しかし、最近ではこうした状況も徐々に改善され、トップ人材がスタートアップ企業を立ち上げるケースが増え、海外から大きな資金を調達する企業も増えてきており、これからの日本のスタートアップ企業の成長に注目する時がきたようです。

最近の注目すべきスタートアップ企業を紹介します。

1.再生可能エネルギー×テクノロジーで脱酸素社会を目指す≪アスエネ株式会社≫再生可能エネルギーの電力小売サービスを展開。

2.電動マイクロモビリティのシェアリングサービス「Luup(ループ)」を展開。≪株式会社Luup≫電動・小型・一人乗りのマイクロモビリティでシェアリング事業を展開。

3.1円から企業へ貸付投資ができる「Funds(ファンズ)」を運営する≪ファンズ株式会社≫「Funds(ファンズ)」は、個人が上場企業に対して、間接的に資金を貸し出す形で投資ができる貸付投資サービス。未来のお金に対する不安を少しでも解消することを目標。

4.核融合炉技術でエネルギー環境問題の解決に貢献する≪京都フュージョニアリング株式会社≫核融合炉に関する装置の研究開発、設計、製造、装置、コンポーネントの輸出を行う。

5.廃棄物の収集運搬AI配車管理サービス「配車頭」を展開する≪ファンファーレ株式会社≫労働人口不足の廃棄物業界の省力化・効率化に取り組む。産廃業界に特化したAIで日々の配車管理を自動化する「配車頭(ハイシャガシラ)」を展開。

6.量子コンピューターで社会的課題を最適化する≪株式会社エー・スター・クォンタム≫量子コンピュータソフトウエアの開発、提供。

7.スキマバイトサービス「タイミー」を展開する≪株式会社タイミー≫すぐ働きたい人と、すぐ人手が欲しい企業をつなぐスキマバイトサービス「タイミー」を展開。

8.最先端プロセス技術を用いて半導体の設計・開発を行う≪株式会社TRIPLE-1≫最先端プロセス技術を用いた半導体設計開発企業。

9.モノづくり産業で調達分野のイノベーションを起こす≪キャディ株式会社≫金属加工製品の自動見積・受発注プラットフォーム「CADDi(キャディ)」の運営。

10.光超音波イメージング技術で被ばくがない3D撮影装置を開発≪株式会社Luxonus≫光と超音波を融合した超高解像度3D画像を撮影できる画像診断装置を開発。
(キャノン、京都大学、慶應義塾大学などが共同して設立したスタートアップ企業)

11.革新的デジタルキーテクノロジー「ビットキー」を開発、運営する≪株式会社ビットキー≫ ID連携・認証と権利処理のデジタルプラットフォーム「bitkey platform」を開発、運営。

12.農業の抱える課題に挑む≪株式会社ビビッドガーデン≫個人や飲食店に“直接”商品を販売できるプラットフォームを提供するスタートアップ企業。

13.AIを用いた学習システム「atama+(アタマプラス)」を提供する≪atama plus株式会社≫一人ひとりに最適な「自分専用カリキュラム」を提供する、タブレット教材「atama+」を開発。

14.国際貿易プラットフォームで金融アクセスを革新する《株式会社STANDAGE》

 銀行口座を持っていなくても送金を受け取れたり、決済を行うことができる。

15.高齢者データ認知症前段階検知、医療費削減に貢献《ジョージ・アンド・ショーン株式会社》

 軽度認知症症状を早期に発見。高齢者とロボットの対話や睡眠センサー等からの情報をAIで分析。

16.83歳が即戦力、日本の介護を明るく変える《あをに工房合同会社》

 高齢者の得意技を分析し、それらを組み合わせれば高齢者でも企業からの受注をこなせる。

 これら、様々なスタートアップ企業の事業内容を見ると、IT、AI、DXを基本スキルとしながら、脱酵素社会を目指す会社や認知症の早期発見、高齢者の介護内容を革新させる企業など、様々なスタート企業が生まれている様子が分かります。

 今後、更にどのようなスタートアップ企業が出てくるか分かりませんが、こうした企業への備えのスキルを学び直しを含めて密かに磨いておくことは、転職に有利に働くかもしれません。

 今日本は周回遅れですが動いています。周回遅れであるからこそ、スタートアップの良い面、悪い面が分かり、それに対応してより優れたスタートアップ企業が世に出て、それが将来の“ホンダ”、“ソニー”になるかもしれません。

 そのとき転職していた皆様は、創業者の一員として脚光を浴びることになるかもしれません。

 転職時代の曙。皆さんの未来が輝くものになることを祈念しています。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です