皆さんは日本を貧しい国と思っていらっしゃるのではないでしょうか。普通国債残高は図1をご覧になるとお分かりのように、2021年度末でその額はおおよそ990兆円になります。政府はこれを国民の借金と言っていますが、そうすると赤ちゃんを含めて日本人一人当たりの負債額は約825万円になります。
政府の言い方を鵜呑みにすると、日本人は大変な負債を負っていることになり、嫌になります。
したがって、日本は一見華やかに見えても、実は大変貧しい国ではないかという思いがすることになります。
図2の歳入歳出で、歳入の多くを公債で賄っており、公債を“借金”ととらえる限り、“借金”が雪だるま式に増えている状況が理解できます。
政府はこの“借金”を税金で最終的に払おうとしており、そのために消費増税を行い、1円でも税収を多くすることで政府債務を減らそうと努めています。
ま公債利払いを低く抑えるために図3のように日銀は金利水準を低くして、政府の利払い費を少なくするように工夫を凝らしています。
金利水準を徐々に低くすることによって公債費が増えても利払い費をほぼ一定になるようにしています。
通常公債には満期があり、満期が来れば元金を返済するのが普通ですが政府にはそのお金が無いということで「借換債」を発行して満期の来た公債をそのまま“借金”として計上することになります。その累積金額が990兆円ということで、日本政府が発行した公債残高が990兆円と、非常に分かりやすい形になっています。
ではここで何が問題かをはっきりさせておきたいと思います。
問題は、政府はこの債務(借金と言わず、債務にします)を、税金調達で賄うとすることを企画していることで、それを政府は「財政健全化計画」を標榜することによって正当化し、その手段として消費税増税計画を推進していることにあります。
多くの学者や専門家は、消費税を将来15%、20%、いや25%にする必要があると言っています。しかし、消費税25%の世界を想像してみて下さい。誰も消費をしなくなるでしょう。デフレが進行し、所得が目減りする中で、税金だけが高くなっていく現実を想像してみて下さい。
皆さんは、そういう世界を望みますか。
今日本の財務省が行おうとしていることは、こういうことです。「日本を貧しくすること」。
目的は、日本を世界の歴史から抹消するために。
しかし、政府・財務省の思惑に付き合わされる国民は大変です。デフレは今以上に進行し、所得は今以上に減少し、確実に生活は貧しく、苦しくなります。そして所得税、法人税が更に少なくなることで、消費税は更にあがることが論議され、果てしなく貧しくなる“負のスパイラル”が稼働します。
しかし多くの国民の皆さんも日本は負債が多いのだから、貧しくなっても当然とする人が多いのも学者や専門家に増税論者が多いのと同じく、事実です。
では皆さんも財務省の「財政健全化計画」を支持し、消費税増税に賛成されますか。日本総貧困化計画に賛成されますか。
私はそれが知りたいです。
藤井聡氏他、多くの学者は「増税は間違いであると」はっきり述べておられます。要するに、増税賛成・反対派の意見は現在2分されていると言っていいと思います。
藤井聡氏が面白い文章を公開しておられました・
『経済学者の青木泰樹教授が「増税論に潜む経済学者の嘘」という本誌寄稿記事の中で、そもそも「経済“学”が想定する世界」と「現実の世界」とを混同している(一部の)経済学者達が、消費増税を主張しているに過ぎない、という議論を展開しています。
例えば、経済学がモデル分析を容易にするために導入したに過ぎない「予算制約式」なるものに基づいて、「現実政府も予算制約式通りに運営されねばならない」という倒錯した議論を展開し、その帰結として消費増税が主張されている、というメカニズムを紹介しています。』
つまり、「経済学の学問通りに現実の世界は動く」ことを前提に、消費税は必要という道に走っていることを述べておられます。
因みに、現在の経済学には中央銀行の“通貨発行権”は想定されておらず、限られた貨幣、資源の中での最適解を求めるものになっているために、消費増税が解として出てくる可能性はあります。
もしもモデルの中に、中央銀行の無尽蔵の通貨を発行できる“通貨発行権”を認めると、最適解を出すことができなくなり、経済学としての意味がなくなります。
しかし、これが現実です。現実に合わせて政策を決定し、実務を実行する必要があると思います。
ところで、ではやはりこれだけの公債を発行しているのだから、日本は貧しいのではないだろうか、とお思いの人は多いと思います。
いや、実は日本は大金持ちなのです。この話はまた後に話すことになりますが、宜しくお願い致します。