私たちは今、想像できないくらいの速さで新しい時代を迎えようとしています。皆さんは今スマホを当たり前のように使っておられますが、今から60年~70年前に、電話はどんな様式だったかご存知ですか。
まだその当時は受話器を手に取り、交換手を呼び出すために小さなハンドルを回し、交換手が出ると相手の電話番号を伝え、そして交換手がつないでくれて初めて電話ができる壁掛けの代物でした。でも、どんなに遠方でも電話で話ができるということで、他に代わるものが無かったために、すごく重宝されていました。
そして次に出てきたのが、ダイヤル式の黒電話でした。相手の電話番号をダイヤル式の自動巻き戻しカバーを電話番号にそって回すことで交換手を呼び出さなくてもよくなり、とても便利になりました。
そして次に出てきたのはプッシュ型のプッシュホンでした。プッシュホンになって、とてもおしゃれな電話が多数市販されるようになり、操作はボタンをプッシュするだけでよくなったため、とても簡単になりました。
でも、ここまでは電話回線がつながっていないと通話はできませんでした。実は私が驚いたのはガラケーが出たときでした。私は小学生の頃から電話というものは電気を介して繋がっているから電話できるのだと思い、電線が無いと電話は繋がらないという先入観がありました。しかしガラケーには電話回線がありません。この時は本当にショックでした。私の固定観念は粉みじんに打ち砕かれました。
勿論パトカー等の車の無線通信などでこうしたいわゆる”電話通信”をしているのは知っていましたが、それはあくまでも特殊な場合と思って、知識の中には「電話線のない電話」という概念はありませんでした。
考えてみれば、電気は電波に置き換えることができます。改めて科学の力に驚いたものでした。
そしてスティーブ・ジョブズ氏発案の“スマホ”が2007年に世に出た時には本当に驚きました。電話回線も無い、画面をスクロールするだけでいろいろなサイトに行くことができ、そしてカーナビにも活用できるなど、その操作性、情報提供能力に私は新しい時代がやってきた、新しい時代が直ぐそこまで来ているという思いを強くしたものでした。
この現実はほんのこの60~70年の間に起こりました。この間に当時花形職業であった“電話交換手”の職業は消え、多くは電子機器によって代替されていきました。つまり、ワークの新陳代謝が行われることになった訳です。
そしてその後の10年の間に、世界はIT革命、AIの出現、DX(デジタルトランスフォーメーション)、そしてVR(バーチャルリアリティー)でのアバター(分身)の出現、そしてメタバースの世界がささやかれる時、時代に入ろうとしています。
この技術革新の時代はまさに18~19世紀にイギリスで起こった産業革命に匹敵するほどの技術革新の時代に入っているのではないかと想像されます。
当時イギリスでは既存の職工たちが機械に職を奪われる危機感から機械打ちこわしの“ラッダイト運動”を起こしました。
今、この新しい産業革命の時代にもワークの新陳代謝が行われる可能性は非常に大きく、それは人が一生をかけて身に着けた技術が突然役に立たなくなることを意味し、新産業革命時代に相応しい技術を取得する必要があることを意味しています。
ここで、新技術革新の内容を見てみますと、それはずばり“IT技術革新”です。すなわち、今後の新陳代謝はこのIT分野で起きることが予想されますが、これは世界の潮流です。
スイスに本拠をおく「ビジネススクール」によれば、現在の日本のデジタル競争力の世界ランキングは2020年時点で韓国8位、中国16位、日本27位だそうです。ちなみに1番は米国、2番はシンガポールになっています。
こうしたIT分野の遅れのために、日本は2021年9月にデジタル庁を新設し、デジタル後進国脱却のために様々な施策を講じ始めました。
これからワークや学び(教育)は大きく変わることが言われ、某メディアによると、2030年までに世界で4~8億人の雇用が自動化によって失われ、うち現役世代の4億人近くは新しい技術を身につけ、新しい仕事に就く必要があると言われています。
こうして私たちがこれまで培ってきた「一生一技術」は難しくなっていくことが予想されるものになっています。
デジタル化の波に大きく遅れをとっている日本は「一生一技術」を改め、「一生二技術」を求めて「学び直し」をする必要があるかもしれません。 某メディアのよれば、2030年までに自動化に代替できる日本での雇用の比率は55%もあり、米国(46%) や中国(51% )に比べて高いとされています。
新産業革命時代の学び直しの世界は“IT・AI・DX”の世界これらを”応用”する世界であり、私たちは勇気をもって新しい技術取得に向けてチャレンジする必要に迫られていることを知る必要があるかもしれません。
ここで私はこの大変革時代に、財務省の緊縮財政の“財政健全化政策”ではなく、“日本人誰でも一億総学び直し”ができるように、国民を支援できる積極財政をへの転換が必要になっているものと推察されます。
日本では高齢化が進んでいます。高齢者は新しい技術、ましてや“IT・AI・DX”は未知の領域と感じる人が多いかもしれません。そうした人は「一生一技術」の世界で終わって頂いても良いかもしれません。
しかしだとすると、少子高齢化が進み高齢者の学び直しが難しことを仮定するなら、若い人には100%、国の支援で、これからの時代に必要な、最低2年の好きな分野での学び直しの機会を与えられることが大切かと思われます。
そのための施設・設備は国の負担で用意し、青壮年誰でも負担0で学び直しができる体制作りを進めることが求められるものと思われます。
注:画像はすべてフリー画像を利用しています。ありがとうございました。