豊かな人生を送るには


 過日、自動車事故後退院して、私はスティーブ・ジョブズ氏の「私が勝ち得た富は、私が死ぬ時に一緒に持っていくことはできない。私が持っていける物は、愛情にあふれた思い出だけだ。これこそが本当の豊かさであり、あなたとずっと一緒にいてくれるもの、あなたに力をあたえてくれるもの、あなたの道を照らしてくれるものだ。」という言葉を思い出し、噛みしめています。

 豊かさ、豊かな人生とは何だろう。「愛情にあふれた思い出を多く作ること」、遅いかもしれませんがこれが豊かな人生を作ることに繋がるのだと知っています。

 ディケンズのクリスマスキャロルで、愛情のかけらもなく、冷酷無慈悲・強欲の守銭奴として有名な、誰からも嫌われていたスクルージは3人のクリスマスの幽霊の訪問を受けます。

 第1の過去のクリスマスの幽霊はスクルージ―に、若かりし頃のスクルージ―と恋人との会話の場面を見せます。

 そこでは恋人の彼女よりも“お金”を愛するスクルージ―に愛想をつかして、彼女はスクルージ―のもとを去っていきます。

 それはスクルージ―がお金を愛することによって得た代償、「恋の終わり」の場面でした。

 そして、次に現在のクリスマスの第2の幽霊が出てきます。

 幽霊はスクルージ―をスクルージ―が雇っている貧乏なボッブ・クラッチの家へ連れていきます。

 しかし、ボッブ家では貧しくとも笑い声が絶えず、家族が共に愛し合っている状況がスクルージ―に見せられます。

 そこは愛と安らぎ、平安と喜びに満ち溢れ、強い幸せの香りが漂い、スクルージ―に優しさと思いやりを呼び覚ます場面でした。

次に現れたのは、真黒な着物をすっぽりかぶって、何も言わない「未来のクリスマスの第3の幽霊」でした。

 

 第3の幽霊は人が話し込んでいる場面にスクルージ―をつれていきます。

 話し込んでいる噂の内容は、ケチで強欲なある男の死についてで、彼が死んだことがうれしくて仕方がないという村人の様子でした。

 そして幽霊が次にスクルージに見せたのは、ひとりの男の死体でした。その男は生前とても強欲の情け知らずの男で、生きている間は、いつも人々をいじめ苦しめていたために、死んでも誰一人として構う者がなく、寂しく寝床で息を引き取ったその男の死体でした。 

 幽霊は歩き始めます。歩く先は墓地で、苔に埋もれた墓石には、「エベネーザ・スクルージ」という自分の名が記されていました。

 第3の幽霊が消えた後、スクルージ―は自分が自分の部屋にいることに気づき、未来がまだ自分のスクルージ―のもので、罪滅ぼしが充分出来るということを知ることができました。

 

 私はスティーブ・ジョブズ氏の“愛情にあふれた思い出”だけが私に力と道を与えてくれるのだ、ということを、スクルージ―の一生の幻から、知ることができます。

 貧しいボッブ・クラッチ家の愛情にあふれた家族は、人から疎まれ、一人寂しく死んでいった守銭奴スクルージ―に比べて、はるかに豊かであることに気づかされます。

 豊かな人生を送るためには、思いやり、愛を基としながら、その上に

  〇 今を精一杯生きる
  〇 勇気をもつ
  〇 目標を持つ
  〇 人に依存しないで、自分で歩く
  〇 自分のことに集中して、他のことに気を取られない

 ことを実践するとき、人生はさらに輝くものになると思います。

 

 私は事故後、スティーブ・ジョブズ氏だけでなく、マザーテレサにも改めて知見を得ました。そしてクリスマス・キャロルから、人の一生について学び直すことができました。

 私の人生は、事故後、本当に大きく変化したと思います。そして私にはもう少し、罪滅ぼしの時間が残されているようです。

スクルージ―の二の舞にならないように、注意してこれからを過ごしたいものです。

ロシア・ウクライナ紛争も、もしも当事者に他人を思いやる心が根底にあれば防げたと思われますが、本当に残念に思われます。

 願わくば、愛が、日本に、世界に拡散することを祈ります。

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