―発芽玄米で健康を取り戻そう―
1 はじめに
皆さんの前で告白するのは恥ずかしいのですが、「玄米・小豆・大豆ご飯」が食生活上極めて優れた食品であることはすでにご紹介した通りですが、そういうわが家で「玄米・小豆・大豆ご飯」の消費が順調にすすんでいるかと言えば嘘になります。「玄米・小豆ご飯」ですら、順調に食卓を賑わしているとは言えません。
何故でしょう?
実は妻が「玄米ご飯」を嫌っているために(食味が悪い)、健康志向だけではどうしても「玄米・小豆ご飯」、「玄米・小豆・大豆ご飯」が食卓を賑わすのには無理があるようです(小豆、大豆が嫌いな訳ではありません)。
したがって、わが家では「玄米・小豆ご飯」(または「玄米・小豆・大豆ご飯」)と妻用の「白米ご飯」と2種類のご飯を炊くことになっています。しかし、どう考えても不合理な感じがします。
では、「小豆・玄米ご飯」、もしくは「玄米・小豆・大豆ご飯」1種類を食卓に登らせるための方法はあるのでしょうか。
2 発芽玄米とその機能
ここで素晴らしい食材を知ることができました。
皆さんは「発芽玄米」をご存じのことと思います。
発芽玄米を一言で言い表すと 「玄米と白米の良いとこ取り」です。玄米は高い栄養価から健康食品としても人気がありますが、糠(ぬか)部分が硬く食べにくいというデメリットもあります。しかし、一方の発芽玄米は栄養価が高いことはもちろんですが、うま味も強く、柔らかく、食べやすいといった特徴があります。また、これまで白米を食べていた人にとっては、玄米の食べにくさが私の妻のように玄米食にハードルを感じるポイントだったことだと思われます。
しかし、発芽玄米であれば、 白米と遜色のない味わいのために、玄米が苦手な人にも薦められます。. 実際に食べてみたところ、玄米特有のいやなにおいは無く、炊き込みご飯のように食欲をそそる香り と、プチプチした食感があり、とても満足のいくものでした。
ところで発芽玄米とは、玄米をわずかに発芽させたもので、玄米を発芽させることによって、それまで眠っていた玄米の酵素が活性化され、お米に甘みと旨味が加わり栄養素が増します。また、糠(ぬか)部分も柔らかくなるために玄米よりも食べやすくなります。
特に特筆すべきは発芽玄米のGABA(ギャバ)の増加で、玄米を発芽させ、酵素を活性化させることで、GABAという栄養素の含有量が一気に大きくなります(表1参照)。
GABAとは、ガンマアミノ酪酸(Gamma Amino Butyric Acid)の略称で、アミノ酸の一種になり、最近注目された栄養成分です。
GABAの歴史は1950年に哺乳動物の脳から発見されたところから始まり、今ではGABAは人間の体に必要不可欠な存在であるということがわかっています。
GABAの効果として有名なものに、「①リラックス効果」があります。
人間はリラックスしているときにα波という脳波を出しますが、GABAを摂取するとこのα波が増加するために、GABAにはリラックス効果があることがわかっています。
GABAは副交感神経を活発にして心と体を落ち着かせることで、このようなストレスからくる症状や悪影響を防ぐことができ、また、GABAは神経を抑制するリラックス効果から、女性ホルモンのバランスの乱れによって、動悸、イライラなどの症状が現れる”更年期障害”にみられる不定愁訴(ふていしゅうそ)※1)を改善するということもわかっています。
※1)不定愁訴とは、頭痛・いらいら・疲労感・不眠など漠然とした不快感を伴う自覚症状を訴えますが,それと体の異常との関連がはっきりしないものを言います。
こうしたリラックス効果は睡眠にも関係し、通常強いストレスがかかり興奮すると、体が睡眠状態に入りにくくなります。GABAは興奮状態を抑えるために、睡眠に入りやすくなります。
またGABAには「②血圧を下げる効果」があると言われます。
血圧が高い状態が続くと、動脈硬化や心臓病、脳卒中を引き起こす危険性があります。
高血圧の原因には”塩分の過剰摂取”、”ストレス”、などが考えられますが、GABAには腎臓の働きを高める機能があり、血圧上昇要因の塩分を排出する効果があるといわれています。
さらに良いことには、GABAは正常血圧には無関係で、高血圧に対してのみ血圧降下作用を発揮するということも分かっています。
またGABAは動脈硬化の原因となるコレステロール※2)と、中性脂肪の増加を抑制します。
※2)コレステロールは、細胞膜を形作る脂質の一種で、血液に乗って体中に運ばれますが、そのままでは血液中に溶け込めないため、水に馴染む”たんぱく質”に覆われて、親水性リポタンパク質”として血液中に存在しています。
コレステロールは体をつくる重要な栄養素で、肝臓や神経組織、脳などに多く存在して細胞膜をつくる材料になり、脂肪の消化に必要な胆汁酸の材料、性ホルモンや副腎皮質ホルモンの材料にもなります。
コレステロールは、細胞にコレステロールを供給しますが、過剰になると血管壁に侵入して酸化され、この酸化されたコレステロールが溜まると動脈硬化などの原因になることがあると言われます。
逆に、コレステロールを回収する働きもあり、血管の掃除をすることで、コレステロール値を正常値に維持し、動脈硬化などを防ぐことにも繋がり、コレステロール値を正常値に維持することが、健康のカギとなります。
因みにGABAは、発芽玄米、トマト等の野菜類、納豆や漬物等の発酵食品に多く含まれています。
ここで、玄米、発芽玄米、白米のビタミン、ミネラル、繊維含有量の比較確認をしておきたいと思います。
表2から、玄米に比べて発芽玄米のビタミンはビタミンEが若干増えていますが、ビタミンB1、B6他、玄米に比べて少し低下しています。しかし、そう多く低下している訳ではありません。
表3から、玄米と発芽玄米、白米のミネラル、食物繊維含有量の比較をしますと、 “カルシウム”、“マグネシウム”、“ナトリウム”、“マンガン”、“亜鉛”、“食物繊維”に至っては玄米よりも発芽玄米の含有量が増えており、一方白米のミネラル成分は大きく劣るものになっています。
結果、発芽玄米の栄養成分は発芽玄米とそん色ないものと思われますが、発芽玄米にはGABAが大量に含まれており、発芽玄米の「リラックス効果」、「高血圧改善効果」がより期待されるものになっています。
3 わが家の食卓に、夢のスーパー健康食品「発芽玄米・小豆・大豆・混ぜご飯」
過日、私の友人が夏の盛りに作業をしているとき「熱中症」なり、家に担ぎ込まれました。手が痙攣し、使えなくなり、また水分補給ができない状況だったといいます。そしてその晩に“こむら返り(足がつる)”があり、とても痛かったといいます。
その「熱中症」になり、家に担ぎ込まれた友人ですが、その後食生活をそれまでの白米のご飯から、玄米ご飯、ではなくて、玄米に小豆を加えた「玄米・小豆ご飯」を日常の「ご飯」にしたことで、時々“こむら返り”を患っていた彼は、「玄米・小豆ご飯」導入後、“こむら返り”は無くなったといいます。
疲労・むくみ回復等に力を発揮する「ビタミンB群」を多く含む「玄米」、ミネラル・食物繊維を多く含み、健康維持には極めて有効な「小豆」、「大豆」、そして、更に体を老化させ、生活習慣病などを引き起こすといわれる「活性酸素」を除去する働きとともに、白血球を活性化して免疫力を高め、花粉症等のアレルギー対策などにも役立つと言われる「フィトケミカル」を有する「小豆」、「大豆」をブレンドした、「玄米・小豆・大豆混ぜご飯」は、食材としてはほぼ完ぺきな“食品”ということができます。
しかし、問題がありました。「玄米」の食味を嫌う人が多いことです。
確かに栄養学的には完全食品に近い“スーパー食品”と言われるものかもしれませんが、多くの人の嗜好に合わなければ、普及し多くの人の健康を守る食品としての意味は持ちえません。
しかしここに大きな希望の光が見えてきました。
それは、“発芽玄米”です。“発芽玄米”の食味は“白米”とほぼ同じです。
また“発芽玄米”の栄養素含有量は、玄米のそれとほとんど同じと言って良いものですが、加えて“GABA”が格段に増加し、「リラックス効果」、「高血圧改善効果」が期待できるものになり、総合して考えると, 「発芽玄米・小豆・大豆混ぜご飯」は「玄米・小豆・大豆混ぜご飯」を凌ぐほどの食品になっているのではないかとも思われます。
私はこの「発芽玄米・小豆・大豆混ぜご飯」を、一体として「ミラクルご飯」(“ミラクルライス”ではありません。“ミラクルご飯”です)と名付けたいと思います。
“ミラクルご飯”によって、皆さんの健康がより快適なものになることをお祈りしています。
付録:発芽玄米は自宅で簡単に作ることができるので、ご紹介しておきます。
(発芽させることでお米に甘みや旨みが加わり、機能成分もアップします)
【発芽玄米の簡単な作り方】
米2合に、塩(炊飯用)2g(小さじ1/2)を目安。
1 ボウルに玄米を入れて水を2~3回取り替えながら洗い、すすぎます。
35度くらいのぬるま湯を使うと、早く発芽します。米が水を吸うので、使用する水の質に注意するとよいと思います。
夏場には1~2日、冬場には2~3日、常温で浸水させます。
2 玄米の発芽
6時間おきくらいにボウルの水を取り替えながら浸水させます。
3 発芽玄米の完成
玄米の胚芽部分がぷっくりと膨らんできたら発芽玄米の完成です。水から上げて軽くすすぎます。
4 発芽玄米の保存方法
作った発芽玄米は常温だと芽がドンドン出てくるので、よくすすいで1週間を目途に冷蔵庫で保存します。そしてキッチンペーパーなどの上に置いて乾燥させます。
5 使用する乾燥した発芽玄米をタッパから取り出し、水で洗い使用します。
以上