皆さん、お元気ですか。暑い夏です。夏バテしないように、また熱中症にならないように健康にはくれぐれもご留意ください。
はじめに
先日友人が訪ねてきて、昔話に花を咲かせました。
もう3年も前の夏のことになりますが、彼は「熱中症」なり、家に担ぎ込まれたとのことでした。手が痙攣し、使えなくなり、また水分補給ができない状況だったといいます。
そしてその晩に“こむら返り(足がつる)”があり、とても痛かったといいます。
意識が朦朧とする中、耳からは体液が流れ出て、一時、状態は極めて危険ということでした。しかしその後運よく水分補給ができるようになり、熱中症から解放されたとのことでした。
“こむら返り(足がつる)”は栄養不足や水分不足、冷え、熱中症、急激な寒暖差が原因で起きることがあると言われており、食生活の見直しやこまめな水分補給により体内のミネラルバランスを整えることで、症状の改善が期待できるとされています。
彼の場合の“こむら返り”の原因は熱中症であり、水分補給の失敗による体内のミネラルバランスが崩れたことによるものと推察されます(水分補給のとき、塩分も同時に摂ることが大切です。食塩をなめることで直接摂るよりも、梅干しで摂ると摂りやすいようです)。
“こむら返り(足がつる)”とミネラル・ビタミン
ところで、“こむら返り”は筋肉疲労や冷えによる血行不良などによりますが、栄養の面からはカルシウム、マグネシウム、亜鉛、カリウム、ビタミンなどの不足が考えられています。
“こむら返り”とは、アキレス腱にある「筋紡錘(きんぼうすい)」がうまく機能せず、ふくらはぎの筋肉が過剰に収縮したりして痙攣をおこした状態を言いますが、持病などがない健康な人の場合の“こむら返り”は「ミネラル不足やビタミン不足による筋肉の異常収縮」、「急激な冷えによる血行不良」、「水分不足による筋肉疲労」が主な原因になります。
「冷え込みによるこむら返り」除けば、ミネラル不足、ビタミン不足、水分不足が“こむら返り”の原因になりますが、これらは食事や飲み物で対処することになります。
“こむら返り”予防に欠かせない栄養素は、第一にミネラルで、ミネラルは筋肉の収縮を制御する役割を持っているため、ミネラルが不足したりバランスが崩れると足がつりやすくなります。
”こむら返り”を防ぐミネラルとして、
日本人の全ての年代で摂取量が不足しているミネラル、特に15歳以上の年齢で不足している”マグネシウム”、
そして、”カルシウム”。マグネシウム同様、特に妊娠中の女性のこむら返りの予防に有効だと言われています。
そして”亜鉛”。意外と知られていませんが、亜鉛はマグネシウム、カルシウム同様、全ての年代で不足しているミネラルです。肝硬変などで亜鉛値の低い人に起こる筋肉の痙攣では亜鉛の摂取が有効だと言われています。
また、“カリウム”は体内の水分を一定に保つ働きがあり、ナトリウムとバランスを取りながら、脱水症状を起こさないようにしています。そのために、カリウムとナトリウムはセットで働いています。
したがって、“カリウム”不足は、脱水症状を防げなくなり、熱中症を防げなくなります。
ここで、特に要注意のミネラルは“マグネシウム”と“カルシウム”で、不足すると筋肉の収縮がうまくいかず、足がつりやすくなるといわれています。
マグネシウムとカルシウムのバランスは2:1が良いといわれています。
また、汗をかいたときに体外に出ていくナトリウムとカリウムは脳から出た命令を筋肉に伝える役割があるため、不足すると足がつりやすくなると言われています。水分補給時に同時に摂ることがお薦めです。
ビタミンB群は筋肉の疲労を回復するといわれており、なかでも「チアミン」と呼ばれるビタミンB1は、脳や神経機能を正常に働かせる機能を持つため、不足すると足がつりやすくなるといわれています。ほかのビタミンB群と合わせて摂取するとよいと思われます。
因みに、ミネラル、ビタミンB群の多い食品を挙げてみます。
【カルシウムが多い食品】
乳製品、煮干し、しじみ、あさり、モロヘイヤ、大根の葉
【カリウムが多い食品】
海藻類、するめ、ホタテ貝柱、ホウレン草、タケノコ、納豆、切り干し大根
【マグネシウムが多い食品】
海藻類、ゴマ、ナッツ類、煮干し、あさり、大豆製品
【亜鉛が多い食品】
かき、カニ類、煮干し、するめ、肉類、チーズ類、卵黄、ごま類
【ビタミンB群が多い食品】
豚肉、胚芽米、玄米、ナッツ類、魚介類
ところで、ミネラルの中でも、特に“マグネシウム”について、問題をご紹介させて頂きたいと思います。
今の人達はカルシウム不足を認めている人は多くいますが、マグネシウム不足についてはほとんど無知で、「マグネシウム」の欠乏は、私たちが想像している以上に深刻な問題になっています。
マグネシウムは、エネルギー代謝をはじめ、筋肉の収縮、血圧の調整、体温の調整,血糖値の調整などの働きを担う大切な栄養素で、マグネシウム不足は、筋肉の異常収縮に影響します。
食物から摂取されたマグネシウムは、普通は骨に貯蔵され、不足がちになると骨からマグネシウムが取り出され、体は常にマグネシウムの量を一定に保とうとします。
これはカルシウムの働きと同じです。
しかし、 カルシウムにくらべて、マグネシウムが骨から取り出される働きは弱いという特徴があり、そのために、マグネシウムを毎日の食事から積極的に摂っていかないと、すぐに体はマグネシウム不足になってしまい、その兆候が「こむら返り」として現れることになります。
「こむら返り」が頻繁に起こるのはマグネシウムの不足に主な原因がありますが、慢性的なマグネシウム不足は、
(1)体のだるさ、(2)疲れやすさ、(3)不眠、(4)不整脈、(5)食欲低下、(6)記憶障害
等を引き起こし、やがては心臓病、脳卒中、高血圧、神経炎、糖尿病といって大きな病気に繋がっていく危険性があります。
マグネシウムはカルシュウムと同等に大切なミネラルですが、その認知度は低く、大きな問題になっています。
「小豆・玄米ご飯」と熱中症
ところで、「熱中症」なり、家に担ぎ込まれた友人ですが、その後食生活を変えたとのことでした。
それまでは、白米のご飯でしたが、その後玄米ご飯、ではなくて、玄米に小豆を加えた「小豆・玄米ご飯」を日常のご飯にしたそうです。
「熱中症」でなくても、時々“こむら返り”を患っていた彼は、「小豆・玄米ご飯」導入後、“こむら返り”は無くなったといいます。
熱中症予防の基本は食生活にあり、特にミネラル、ビタミンB群を摂ることが大切でした。
そこで、大豆・玄米と他の食材のミネラル、ビタミン類の比較をしてみました。
表から、小豆(ゆで)のミネラル成分が多いことが窺われます。特に小豆(ゆで)は100g当たりマグネシウム(120mg)、カリウム(1500mg)、亜鉛(2.3mg)、リン(350mg)、食物繊維(17.8g)などの含有量が多く、“こむら返り”の原因となる熱中症に有効であることが分かります。
また玄米も小豆(ゆで)ほどではありませんが、100g当たりマグネシウム(110mg)、亜鉛(1.8mg)などの含有量が多く、小豆と玄米をミックスした、「小豆・玄米ご飯」は、“こむら返り”の原因となる熱中症に有効であることが分かります。
難を言えばカルシウムが少ないので、カルシウムを補強する乳製品、煮干しなどを同時に摂れば完璧に近いものになります。
それでは、次にビタミンについて見てみたいと思います。
表2から、ビタミンB1、B2、B6、パントテン酸、とりわけビタミンB1の含有量は小豆(ゆで)0.45mg、玄米0.41mgと多いことに気付きます。
『ビタミンB群は筋肉の疲労を回復するといわれており、なかでも「チアミン」と呼ばれるビタミンB1は、脳や神経機能を正常に働かせる機能を持つため、不足すると足がつりやすくなるといわれています。ほかのビタミンB群と合わせて摂取するとよいと思われます。 』
と言われていますように、小豆・玄米はビタミンB群を多く含んでいますが、とりわけビタミンB1の含有量が多く、“こむら返り”の原因となる熱中症に有効であることが分かります。
小豆にはこの他にも、筋肉、皮膚、内臓、髪の毛、血液などの体のあらゆる部分を作るたんぱく質を100グラム当たり20.3g含んでおり、和牛の生のモモ肉18.9g、豚肉の生のモモ肉19.5gに比べると、それ以上のタンパク質ということになります。
まとめ
持病などがない健康な人の場合の“こむら返り(足がつる)”は「ミネラル不足やビタミン不足による筋肉の異常収縮」、「急激な冷えによる血行不良」、「水分不足による筋肉疲労」が主な原因になりますが、「冷え込みによるこむら返り」除けば、ミネラル不足、ビタミン不足、水分不足が“こむら返り”の原因になり、これらは食事や飲み物で対処することになります。
熱中症による“こむら返り”も、急激な水分不足、ミネラル不足などによって引き起こされることになりますが、要は日常生活でのミネラル不足、ビタミン不足を解消させる食生活が大切ということになります。
確かに、【カルシウムが多い食品】、【カリウムが多い食品】、【マグネシウムが多い食品】、【亜鉛が多い食品】、【ビタミンB群が多い食品】と考えて栄養を摂ることも大切ですが、こうしたことを考慮せずに、比較的簡単に熱中症対策、こむら返り対策の食事法がありますが、それは「小豆・玄米ご飯」です。
「小豆・玄米ご飯」は、カルシウムを除けば、ほぼ完全な熱中症対策、こむら返り対策の食事であり、またたんぱく質を多く含む食事ですので、健康の維持、回復にはとても良い「食事」の一つといえるものと思われます。
皆さんも、乳製品、煮干しなどを副食に加えながら、「小豆・玄米ご飯」を試してみませんか。