老いる日本


―インフラ高齢化の日本―

皆さんは、日本のインフラ(道路・橋、トンネル、上下水道、港湾岸壁など)はまだまだ大丈夫だと思っておられますか。

イフラは建設後50年が寿命とされています。国土交通省によれば、全国の道路・橋は2033年に全体の63%、水門などの河川管理施設は62%、トンネルは42%が、港湾岸壁は58%が建設後50年を迎えると言われています(図1)。

図1 建設後50年以上経過する社会資本の割合

総点検で対応が必要とされた橋梁のうち、国の管理分は既に60%が修繕に着手したとありますが、自治体では30%止まりとなっているとのことです。

災害が多い中国地方の自治体では、「次々に補修が必要な施設が出てくるのに、予算も人手も足りない」といって嘆いています。

不具合が発生してから手当てする方法だと、30年後には国・地方の費用合計は約12.3兆円ですが、損傷が激しくなる前に修繕をする「予防保全」を徹底すれば、費用を30%程度節約できるとのことです。岸田文雄首相は2022年1月の衆院本会議で「予防保全の投資が中長期的には費用負担を抑制する効果も踏まえて、効果的な防災のあり方を検討する」と述べています。

近年の国際的な公共投資額を見ると、1996年以降、日本だけが縮小化の道を歩んでいますが、他国は逆に多くなっています。

図2 各国公共投資

改めて問うことになりますが、それではインフラ投資の激減、設備の老朽化、そしてその背後にある、インフラ投資費用の削減が何を意味しているのでしょうか。

施設・設備の老朽化は社会・経済活動の停滞、効率的な経済運営を難しくし、また同時に新時代に必要な新しいインフラ設備への投資が進まない場合、海外との様々な競争に遅れをとるようになることが懸念されます。

現在は4Gから5Gへ、更に6Gへと伝達情報容量は格段に大きく、また高速化したものに変化を遂げつつありますが、こうした新時代の投資に遅れをとることは、世界の技術競争に遅れを取ることを意味しており、産業の発展に遅れが生じることが懸念されます。

日本はデフレ経済下にありますが、デフレ脱却の道筋も見えないまま、政府はプライマリーバランスの堅持、緊縮財政を続け、その結果日本のインフラ投資は削減され、また新しい産業を育てる基礎的インフラへの投資も行われないことを強烈に実行しているために、日本は老いた、先の無い「国」に転落しようとしています。

道路・橋・河川管理施設・トンネル・港湾等の「基礎的インフラ」、5G・6G 基地局等の「応用ステップアップインフラ」等、種々のインフラ投資を進めることで、産業基盤を強化し、世界の科学技術開発競争についていけるものと思われます。

しかし、現在の日本は「応用ステップアップインフラ」は勿論のこと、「基礎的インフラ投資」をも「基礎的財政収支の健全化(PB)」の謳い文句よろしく、減額、削減を続け、日本を本当に「老いた」国にしようとしています。

全ての元凶は「PB」遵守にあります。

私たちの国は政府の手によって、強制的に貧しい国に貶められようとしています。

そして、周辺国の力に怯えながら暮らすことになります。

 皆さんの将来が、輝かしいものでありますように、お祈りしています。

出所:ウイキペディア

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