日本が動く


―国が熱くなるー

 戦後70年、長い間世界に気兼ねしながら暮らしてきた日本が、動こうとしています。

 第2次大戦後、GHQが日本に与えた憲法草案による日本国憲法の下、日本は軍隊を持たない平和主義の国に徹し、経済再生に邁進してきました。

しかし過去には1990年の湾岸戦争で130億ドルもの多額の多国籍軍への拠出にもかかわらず、人的支援がされなかったということで、クウェートが謝意を表明した中に日本の国名はなく、日本の湾岸戦争での「貢献」は世界的には評価が低くいことが明らかになりました。

一国平和主義とは、とどのつまり世界とは孤立したものであり、世界との協調姿勢を取れないものであることが明らかになりました。

 

この湾岸戦争で明らかになった日本の弱点の一つは、日本が国際政治の中でいかなる役割を果たすかという日本外交のアイデンティティが欠落し、戦後日本は軍事力を対外政策の手段として用いず、平和的経済手段を基本としてきたのですが、平和維持活動に参加する自衛隊の武器使用の問題や、米軍の救援に関する集団的自衛権の問題などについての日本の中でのコンセンサスが欠落していることが明らかになりました。

そして二つ目は、既存の枠組みを超える大きな危機に直面したときの政府の戦略的判断力の弱さに問題があり、特に尖閣諸島をめぐる日中間の紛争や、2011年3月11日の東日本大震災と原発事故への対応から、政府の対応能力には依然として改善すべき点が多く、湾岸戦争の経験は現在も日本の対外的な課題を持っていると言えるものになっています。

そして戦後70年、世界は激変しています。それは政治・経済分野、科学技術分野において著しく、戦後の米ソ冷戦構造は一旦解消されましたが、その後の中国の台頭、ロシアのウクライナ侵攻によって国際秩序は動揺し、併せて北朝鮮の度重なるミサイル発射実験、核兵器開発は留まることを知らず、中国・ロシアの蜜月、そして中国・ロシアの北朝鮮擁護は東アジアの安全保障を急変させています。

2012.5月、日中韓首脳会談で、中国の温家宝首相は尖閣諸島について「(中国の)核心的利益」と述べ、中国の尖閣諸島領有を主張しました。「核心的利益」とは、中国政府が「国益上譲れない」という強い領有の意思を表明するときに使う外交用語で、中国首脳が尖閣諸島について、「核心的利益」を宣言したということは、尖閣諸島に対する「武力行使宣言」がなされたということを意味します。

2016年7月、オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所は、中国が南シナ海のほぼ全域で領有権を主張する独自に設定した境界線「九段線」には国際法上「歴史的権利を主張する法的根拠はない」と裁定を下しました。また、中国が南沙諸島などで人工島の造成などをしている岩礁はすべて「島」ではなく、「岩」または高潮時に水没する「低潮高地」であるとの裁定も下しています。

その後、2019年7月、中国は「新時代の中国の国防」と題した国防白書を発表し、その中で南シナ海の諸島については「(中国)固有の領土」とし、人工島や施設などの建設は「法に基づき国家の主権を行使している」と主張しています。

2022年2月4日、中国の習近平主席とロシアのプーチン大統領は北京で首脳会談を開き、「中露共同声明」を発表しました。

そしてそこで、中露は相互の「核心利益」を擁護し、「ロシアは一つの中国の原則を支持する」とし、「両国は近接地域での外部勢力による干渉を排除し、当該地域での両国の協力を強化する」と謳っています。

そして、2022年2月24日、ロシアはウクライナ侵攻を開始し、ここに戦後70年間保たれてきた、国家間の紛争が勃発しました。

力による現状変更の姿が徐々に鮮明になりつつあります。

現在ここにきて、日本の国会審議が活発化しています。

ロシアのウクライナ侵攻への関心の高まりの下、2022年5月27日の日経新聞の一部を紹介します。

『「現実的な課題であり、早期実現が求められる」。

岸田文雄首相は今月23日の超党派の改憲集会にビデオメッセージを寄せ、自衛隊の9条明記についてこう言及した。

自民党は18年にまとめた改憲4項目で、9条への自衛隊の明記を打ち出した。・・・・・。

自民党の新藤義孝氏は12日の憲法審で「自衛隊が憲法に位置付けられていない状態をいつまで続けるのか」と9条改正を呼びかけた。「最も根幹的な国防規定を議論し、憲法に反映するのは最優先課題だ」と訴えた。

ウクライナ侵攻後、世論にも変化がある。日本経済新聞社の4月の世論調査で、各党が改憲の具体的な議論をすべきだと思うかとの質問に72%が「議論すべきだ」と答え、「議論する必要はない」は21%だった。

こうした機運の高まりに、野党の一部から自民党の主張に呼応する意見がでている。

維新の足立康史氏は19日の憲法審で「ウクライナ戦争が勃発し現行憲法の問題点に多くの国民が気付くこととなった。」と話した。「今、何を差し置いても議論すべき項目の一つは9条だ。憲法論議をリードする」と力説した。』

現在、日本は動き始めようとしています。

戦後70年間、何があっても動こうとしなかった日本が、動こうとしています。その動きを押したのが世論調査であり、国民一人一人の意識の高まりです。日本は未来に向けて動き始めたと言えると思います。

ただできれば、迅速な動きを期待したいと思います。

そして大きな動きに、「原発再稼働」の動きをあげることができます。

2011年3月11日、1万8425名の死者・行方不明者を出した、東日本大震災が発生しました。

東日本大震災により、福島第一原子力発電所で稼働していた1 – 3号機、福島第二原子力発電所の1 – 4号機が地震により停止し、福島第一原子力発電所では地震により冷却水を供給するための電力を確保ができない状況に陥り、その後、原子炉格納容器内の圧力上昇、弁からの放射性物質の排出、そして水素爆発による原子炉建屋の崩壊へと続き、第一原発及び第二原発の周辺住民への避難勧告が出されるなど、重大な原子力災害へと発展しました。

結果、日本はすべての原発の稼働が順次停止され、2015年8月から一部の原発が稼働を再開しましたが、日本はそれまで、2013年9月以来、2年近くにわたってすべての原発を稼働停止させていました。

しかしその後も原発再稼働は進まず、日本の原子力は風前の灯ともいえるものになっていました。

地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出量「実質ゼロ」を目指す脱炭素社会では、最も温暖化への影響力が大きいCO2の削減が一番の課題となっており、再生可能エネルギーへのシフトが進んでいました。

 こうして、これまで世界でも最先端の技術を持っていた日本の原子力技術はすたれ、研究分野でも研究者の減少に歯止めがかからない状況が作り出されてきました。

 そこにロシア・ウクライナ戦争が勃発し、ロシアからの石油、ガスが停止され、エネルギー価格が高騰し、EVなど、これからの産業に重要な電力供給に問題が発生してきました。

 ここで、この10年間、再稼働停止を進めていた日本で、再稼働実現に向けた動きが活発化しつつあります。

 政府自民党は、2021年の衆院選の公約で、安全が確認できた原発の再稼働や小型モジュール炉(SMR)への積極投資を掲げ、参院選では原発を再生可能エネルギーとともに、「最大限活用する」として必要性をより強調するとしています。

 物価上昇など生活への影響が出てきたのを受け、日本維新の会は、エネルギー価格の高騰やウクライナ情勢を理由に「安全性が確認できた原発は速やかに再稼働する」と唱えています。

 こうして、これまで「開かずの間」的に避けてきた重要な部分に、現在国は総力を挙げて取り組もうとしています。

 そして新しい「グリーン水素」などの未来技術の分野に、国をあげての戦略的プラン、設備投資が進められるとき、日本は大きく動くことが想定されます。

 日本は動きます。バブル崩壊後の30年の時を経て、日本は大きく体質を変えながら、動こうとしています。

 

 国が動き、変わるときは、国が熱くなる時です。今、日本は熱くなろうとしています。

 国政が熱くなり、国民が熱くなるとき、日本は動き、変わります。これからの日本にエールを送りたいと思います。

 日本の未来に栄光あれ。

 皆さんの未来に栄光あれ。

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