“環境変化”と“FX”


1 FXの時とは

 今や多くの人が手掛けているFXですが、これまでFXの妙味は少なかったと言います。それは各国の経済環境が類似していて為替変動が小さく、大きな利益を上げにくい状況にあったからと言います。しかし、社会が動き、各国の金利差が拡大して為替が変動するようになると利幅が拡大し、利益が大きくなる状況が出やすくなるため、FX取引が活発化すると言います。

 今回のコロナウイルス、ロシアのウクライナ侵攻という歴史的変動は各国の社会経済環境を大きく変化させ、各国間為替変動を大きくしています。

図1は、2010~2022年のドル/円でのローソク足で為替変動を見たものですが、2010~2011年頃の為替レート約77~80円程度のものが、2022年には約127~131円程度にまで、円安に動いています。

2008年9月に始まるリーマン・ブラザーズの経営破綻は、世界的な金融危機および世界同時不況を引き起こし、各国は大々的な金融緩和措置を取り、世界恐慌へ進むことだけは免れましたが、貿易黒字国日本に対する有事の円買い、危機時の安定資産としての”円”は急騰します。

この時FX取引で大きく損をする人、逆に大きく得をした人など、そこにはFXの恐ろしさが凝縮して現れたと言われます。

その後リーマンショックの後遺症が改善されるにつれて世界経済は安定し、為替も落ち着きを取り戻していきます。

しかし、いずれにしても、この時大きく為替市場は変動し、それに伴いFX市場も大きく変動したことには疑いは有りません。

そして10年後の現在、リーマンショックに変わり、コロナウイルスによる景気減退のところにロシア-ウクライナ紛争が勃発し、当時と同じように世界各国は金融緩和措置に走り、景気の悪化を食い止めることができたのですが、大量の資金供給はインフレ傾向を各国にもたらし、同時に各国のロシア経済制裁により資源・エネルギー価格が高騰し、各国の賃上げ以上の物価上昇によりインフレが起きる可能性が高くなり、各国政府は高金利政策に走ることになりました。

この、不景気―金融緩和―インフレ不安―高金利政策はリーマンショック時と全く変わりませんが、ただ一点変わったことがあるとすれば、貿易赤字の定着、経常収支の赤字化、政府債務の膨張という現実から、“有事のときの円買い”ではなく、“有事の時のドル買い”になり、円は急落することになります。

 では、円急落の動きは今後図2で言えば、①になるでしょうか、それとも②になるでしょうか。

 日本の日銀黒田総裁が金融緩和を進める限り“円安”方向に為替は振れることが想定されます。

 この長期トレンドを考えて、現在FXにチャレンジしようと考える人が大勢おられます。

 FXは、単位時間当たりの為替の変動幅の大きさによって収益・損失の大きさが決まってきます。今は、FXのチャンスと言われる所以です。

 リ-マンショック、コロナウイルス、ロシアーウクライナ紛争、時代が変動する時、単位時間当たりの為替の変動幅大きくなり、その時がFXトレーダーにとって、最高の時と言われています。

 時代の変化を様々な情報、データから類推し、為替変動を予測する術を持つこと、鍛えることがFXトレーダーには大切と言われます。

 では、これからの国際環境はどう変化するでしょうか。

2 国内FX業者と海外FX業者の違い

 1) ゼロカットシステム

皆さんは、もうご存知だと思うのですが、国内FX業者と海外FX業者間でとても重要な点で違いがあります。

 それは、「ゼロカットシステム」があるか、ないかということです。

 外国FX業者には「ゼロカットシステム」が基本的にありますが、国内FX業者にはありません。

「ゼロカットシステム」とは、ロスカットが間に合わず口座残高がマイナスになってしまった場合に、その損失分を業者が負担して口座残高をゼロにリセットするシステムですが、これは国内FX業者にはありません。つまりこのシステムがあればトレーダーは借金を背負うことがないということになります。

国内FX業者にゼロカットシステムがない大きな理由は、『健全で公正な証券市場を守るため、投資信託など金融商品の売買その他の取引では、損失が発生した場合の損失補填や、予定されていた利益が得られなかった場合に利益を追加することは「金融商品取引法39条」で禁止されている』ことによります。

この法律があるため、仮に投資家である私たちがマイナスを被り、借金を背負う形になったとしても、投資家が払わなければいけないというルールになっています。

しかし欧州では、2018年、欧州証券市場監督局(ESMA「証券会社のゼロカットルール義務化」を制度化し、証券会社の利益よりも投資家保護が優先される仕組みを作りました。

こうして、国内、国外での取引ルールに差ができ、現在に至っています。

いずれにしても、FX初心者にとって、口座残高を0にリセットできる「ゼロカットシステム」は非常に心強いものになります。

  • MT4MT5について

ロシアのメタクオーツ社(MetaQuotes Software Corp.)が開発した、MT4・MT5は、世界で最も利用されているトレードツールで海外FX業者は、ほとんどMT4に対応していますが、国内FX業者でトレードに使えるのは一部の業者に限られています

MT4、MT5のメリットを挙げれば、

〇無料で、チャート・通貨ペア・時間足など画面をカスタマイズし放題

〇テクニカル分析に最適で、豊富なインジケータ・EAが無制限で使えます

〇動作が軽い

〇複数同時起動や複数口座登録もできます

以上、「ゼロカットシステム」があるか、無いか。MT4、MT5があるかないかで、国内FX業者と海外FX業者が少し区別できるかもしれません。

FXはこれから面白いものになると、ある人は言っていますが、FXをこれから考える人は、今後の社会環境の変化の方向、大きさ、そして国内外FX業者をよく選定するところから始まるかもしれません。

参考までに、国内、国外のFX業者の一部を掲げておきます。

表1 FX業者一覧
注:●は、MT4が使える日本のFX業者

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