わたしの系図探求


 父の晩年に、私は父から曽祖父の時代の話を聞くことができました。片田舎に住んでいた曽祖父の時代、村の本道は家の前を通っている道幅約2m強の山道だったとのことでした。今は道幅薬10mの立派な道路が家から遠く離れた場所をはしっていますが、当時は田舎に車はなく、道幅約2mあまりの山道を、大八車を馬に引かせて峠を越えていたといいます。

 先祖は田舎で農業を営んでいましたから、秋には一俵60㎏の米俵を何個かしりませんが大八車に乗せて町に運び、帰りには必要な日常の品を買って帰っていたといいます。

 私は一度、父の話を参考に、その山道を歩いてみました。それはデコボコした急な坂道でした。途中で道が幾重にも分かれていたので、本道がどれかわからなくなり、途中で引き返すことになりました。

 この散策を通じて、先祖の苦労、努力を想う時、言い知れぬ尊敬の念と感謝の気持ちが湧き出てきたのを覚えています。

 そして、全く想像できないのですが、町へ材木を運搬するのに、川を使っていたといいます。私の想像では、材木運搬にはやはり馬を利用し、適当な長さに材木を切断して大八車に乗せて運搬していたものと思っていました。

 しかしそれは私の思い過ごしでした。材木で“筏(いかだ)”を作り、その筏に乗って下流まで行き、その筏を解体して材木として販売していたと聞き、驚愕しました。

 筏に乗り、大きな川石があるなか、筏を操作する技術は大変です。

 今はその川には途中いくつかの“堰”が作られており、筏での材木運搬はできなくなっています。

 しかし、何という村の生活、営みでしょうか。私は父からこうした話を聞くことが無かったら、村の出来ごと、また村に残る言い伝えも知ることなく一生を終えるところでした。

 先祖を知ることは、自分を知ることになり、また先祖の生き様を自分の中に入れることによって、また親類縁者を知ることによって、自分の存在意義が分かってくるような気がしています。

 それにも増して、先祖の時代の社会環境、生活環境を知ることは、私たちの現在を知る上で、非常に貴重な財産になることに気付くことができました。

 曽祖父の話をしてきましたが、曾祖母の話も聞くことができました。明治から大正、昭和の初期にかけて、田舎では養蚕が盛んで、各家庭で“蚕”を飼っていたといいます。そして“繭(まゆ)”ができると、糸繰機でその繭から生糸を作っていたといいます。そしてそれを売りに出します。それは手間のかかる仕事で、根気のいる仕事だったようです。

 そして田舎ではお店もなく、多くは自給自足経済であり、茶摘みで自家製番茶を作り、こんにゃく芋を自家栽培してそのこんにゃく芋から自家製の“コンニャク”を作っていました。

 また、豆腐は、昔の田んぼは今のように畔(あぜ)がコンクリで固められておらず田んぼの土で固められていましたから、その畔(あぜ)に大豆を植えて秋に収穫し、その大豆から自家製“豆腐”を作り、その豆腐がお正月の豆腐料理として出ることになります。

 味噌も自家製になります。

 こうした食に関する一切のことを曾祖母は行っていたようです。なんと素晴らしい曾祖母、ご先祖様でしょうか。

 明治、大正、昭和と戦乱に明け暮れていた時代、日本の田舎では脈々として苦労を苦労と思わない人の生業が行われていました。

 私はこの話を聞き、心のなかで泣いていました。彼らはそれらを苦労と思わず、日々の生業としてたんたんとこなし、今の私につないでいます。

 私は、改めて、先祖の探求が必要だとの思いを強くしました。

 

 私が現在あるのは、どういう繋がりで現在があるのだろうか。自分の先祖はどんな人だったのだろうか。そしてこれら先祖の繋がりはどうなっているのだろうか。

 私の先祖に対する欲求、思いは系図探求という形で結実することになります。

 実は系図は既に父が基本をまとめていましたので、私は更にそれをデータとして正しいものに、また見やすく繋がりがはっきり分かるものに整理する作業にとりかかっています。

 現在系図をはっきりさせるために、先祖、親類縁者の「戸籍謄本・除籍謄本」などを集め、繋がりを整理しています。

 そして、分かる範囲で先祖の写真、エピソードなどを貼付け、記載し、先祖がより身近になるようにしようと思っています。

 皆さんは、「無料の家族歴史と系図記録 — FamilySearch.org」というサイトをご存知でしょうか。ここに自分と先祖の縦の繋がり、親類縁者との横の繋がりを表す、効率的な「系図記録表」が利用できるものになっています。

 非常に簡単に自分と先祖、親類縁者の関係がまとめられ、かつ写真、思い出などの文章も記載できるようになっており、非常に便利に思います。利用は無料になっていますので、お得かと思います。

 何より、系図のまとめ方がわかり、Family Search.orgを使わない場合でも、系図のまとめ方を知る上で、非常に参考になると思います。

1 系図―サンプル系図

2 系図―子孫の展開

3 他の家系とリンクしているかが調べられる

など、Family Search.orgにはいろいろな機能があり、系図を見やすく、形よくまとめられると思います。

 現在、父の跡を継いで、家系図のまとめにかかっていますが、先は長いと実感しています。

何かで見たのですが、①先祖に感謝しながら取り組む、②家系図作りは先祖供養、③家族の歴史と日本の歴史を感じながら取り組む、④先祖を探す宝探し、という気持ちで取り組んでいます。

本当に、系図探求は日本の歴史を学んでいるようです。


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