世界の未来と行動


 2019年、隠ぺい体質の中国でコロナウイルスが広がりはじめ、2020年から爆発的に世界に拡散し、世界は大きな損害を被ることになりました。その害は2022年5月23日現在、世界全体で感染者数5億2千万人、死者数630万人の多きになっています。

この深刻な状況になった原因はコロナ情報を中国が隠ぺいしたことによりますが、世界が混乱する中で、このコロナを自国の政治・経済的利益につなげる暴挙に中国は出ることになります。

コロナがまだ世界で拡散が進んでいない状況下で世界からマスクを買占め、その後コロナが世界で蔓延してマスクが不足すると買い占めていたマスクを売りつけ、そしてマスクを提供することで“恩”を売るマスク外交を展開することになります。こうした先を見る行動にでることができるのは、情報を掴んでいたからできるのであった、それも強力な伝染性のあるウイルスという確証がなければできません。

東・南シナ海での一方的現状変更主張の領有権問題、そしてチベット・ウイグルの人権問題、そして今回のコロナウイルスの隠蔽・拡散問題など、東アジアは中国を中心に大きく動こうとしています。

2022年2月24日、ロシアはウクライナ侵攻を開始しました。

ロシアのウクライナ侵攻はロシア政府というよりも「プーチン大統領」の個人的理想、夢、要求によってもたらされたものであり、プーチン氏の考えが分からなければこの侵攻の意味を理解することはできません。

2021年4月、プーチン大統領はウクライナ国境地帯に10万人規模の大部隊をウクライナ国境地帯に進出させました。

2021年12月、ロシアは突然勝手に「NATO不拡大の確約」などの要求を出し、「米国・NATOは不拡大の約束を守らず、東方拡大でロシアの安全保障への脅威をもたらしている」として、欧米側の敵対的な方針が続けば「軍事的な対抗措置をとる」と言いました(※ロシアが言うNATO不拡大約束は実在しません。ロシアが言っているだけです)。

この目的は何なんでしょう。

プーチン大統領は中国の習近平政権と連携を深めており、同時に親露派の「集団安全保障条約機構」の加盟国である「カザフスタン、アルメニア、ベラルーシ、キルギス、タジキスタン」、そして反米の「イランのハメネイ政権、シリアのアサド政権、ベネズエラのマドゥロ政権、北朝鮮の金正恩政権」などを含めた、欧米民主主義に対する反民主主義陣営を形成することではないでしょうか。

この構図はかつての「アメリカ対ソ連」の、「民主主義対社会主義」の構図に似たものであり、プーチン大統領の目的は、『欧米側の敵対的な方針が続けば「軍事的な対抗措置をとる」』と言って欧米を脅迫した中に窺えるように、最終的には「西側との戦い」であり、その目的のために東欧からのNATO排斥ではないでしょうか。

アメリカがオバマ大統領の時から「世界の警察」の役割を放棄し、一方反米の中国が急速に力をつけてきている現在、プーチン大統領の戦いは「冷戦構造の再現」によってロシアを再び「大国」にするための戦いだと思われなくもありません。

 過去、ドイツのヒトラーがそうでした。

1939年9月1日ドイツおよびドイツと同盟のスロバキア共和国が、続いて1939年9月17日ソ連ポーランド侵攻し、ポーランドの同盟国のイギリスフランス相互援助条約に基づき9月3日にドイツに宣戦布告し、ここに第二次世界大戦が始まりました。

 イギリスのヒトラーへの宥和政策は、一時しのぎとして戦争の回避に繋がりましたが、最終的にはヒトラーの野望の前に、全てが潰えます。

 言い換えると、為政者の野望は最終目的に到達するまで潰えることはないとの証でもあり、ヒトラーのヨーロッパを支配するという野望は最後にはドイツの敗戦によって潰えますが、それまでに大変な犠牲が出ることになりました。

 2022年2月18日、ロシアはアメリカとNATOに、従来のNATO不拡大確約に加え、NATOとウクライナの演習・武器供与の停止、中・東欧からの米軍を引き揚げなどの要求をエスカレートしており、ロシア・ウクライナ紛争が当初は地域限定的なものであったとしても、それで終わりでなく、プーチン大統領の野望はヒトラーのように、壮大かつ長期に渡ることが考えられます。

いずれにしても、ロシアが民主主義陣営と対立し、共産国中国と連携を強化するとき、世界は再び二分され、対立の軸が形成されます。

しかし、これからの対立の軸は「アメリカ対ソ連」よりも対立の輪は広がり、対立の軸は「民主主義対独裁主義」、「国民主権主義対独裁主権主義」になり、世界を2分するものに拡大、発展するかもしれません。

こうして紛争が拡大して行く場合、その戦火の行方は想像を絶するものへとなる可能性があります。

図1 荒廃
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1931年9月、柳条湖事件が発生し、満州事変へと戦線は拡大していきます。

張学良引入る東北辺防軍の総兵力約45万に対して関東軍の兵力は約1万であり、兵力増援のために21日に林中将の朝鮮軍が軍の統帥権を持つ天皇の許可を得ずに独断で越境し満洲に侵攻することで、現地における単なる企業爆破事件であった柳条湖事件は国際的な満州事変に変質することになりました。

 日本軍への挑発防止と共産軍への対応のために蒋介石の張学良への不抵抗、不応戦の支持の下、日本は1932年2月馬賊が跋扈する満州全域を占拠するに至ります。

アメリカの国務長官スティムソンは1932年(昭和7年)1月7日、『スティムソン・ドクトリン』を発表し、日本軍の満州占領を激しく非難しました。関東軍は『国際世論の批判』を回避するために、満州全土を日本が直接統治するのではなく、『傀儡政権』として、清朝のラストエンペラーだった宣統帝・愛新覚羅溥儀(あいしんかくらふぎ)を再び皇帝(満州国の君主)として擁立し、1932年3月1日、満州国を建国しました。

東アジアで、アジアの“雄”「日本」が、日本の生存をかけて、各国との協調、和平を求めながらも戦乱の道を歩んでいきました。

元駐日大使のウィリアム・キャッスルの1933年の講演によると、フーバー政権は日本を不必要に刺激しないようい一貫して対日経済制裁・対日ボイコットに反対し、戦争を意味しかねない制裁発動を押しとどめ、満州事変では日本への配慮が必要だったことを認めていました。

スティムソン・ドクトリンは、日本とアメリカの友好関係を極めて難しいものにしました。日本では満州での紛争は、これから起こるであろう資本主義共産主義衝突の前哨戦であると思っていました。  

豊田貞次郎提督はアメリカ駐日大使に宛てた書面の中で、「われわれだけでなくこれからの世代も含めて、中国・ロシア型の共産主義をとるのか、アングロサクソン型の資本主義をとるのかの選択に迫られている。もし中国が共産主義の支配下に入り、日本がこれまでどおりの主張に沿った対処をすれば、日本自身がかつての壱岐や対馬の立場に立つことを意味する。つまり共産主義の攻撃を受けて立つ防衛の最前線に立つということである。日本はその道をとる」と書いています。

しかしその後アメリカはルーズベルトが大統領に就任した1933年3月以降、1929年から発生した世界恐慌を乗り切るための経済ブロック政策として貿易を制限する法令を成立させ、貿易は原則自由から制限許可制をとり、戦略物資はアメリカからの輸出を原則禁止とし、この禁止除外国リストから日本をはずすだけで、日本への圧力を強めることができるようになりました。

1940年9月、ビシーフランスとの条約締結による仏領インドシナ北部進駐、日独伊三国軍事同盟により、アメリカは日本を敵国とみなし、1941年6月、ABCD包囲網が完成し、日本への戦略物資は輸出できなくなり、この経済封鎖により日本は大東亜戦争に突入することになります。

経済制裁が現在ロシアに対して行われており、ロシア・ウクライナ戦争がいつ終わるのか目途がたちません。そして、プーチン大統領が描く“大ロシア”は、「集団安全保障条約機構」の加盟国である「カザフスタン、アルメニア、ベラルーシ、キルギス、タジキスタン」、に加えて、反米の「イランのハメネイ政権、シリアのアサド政権、ベネズエラのマドゥロ政権、北朝鮮の金正恩政権」などを含めた、反民主主義陣営を総合したものである可能性があり、ロシア・ウクライナ戦争でロシアがウクライナに勝利することは、その一里塚に過ぎないかもしれません。

経済制裁はロシアだけでなく、チベット・ウイグルでの人権侵害、領土拡張を飽くなく追及する中国にもかかっており、中国とロシアの今後の行動、中露防共協定などの連携強化の動きには注意が必要です。

まだ「民主主義対独裁主義」、「国民主権主義対独裁主権主義」の色分けに世界を分類できませんが、しかし現在の中国寄りの国家群、ロシアへの制裁拒否国の存在を見るにつけ、ことの次第如何では世界は大きく2分、もしくは3分される可能性が高いものと思われます(どちらにもつかない“中立”を表明する国)。

その対立の基軸は、「民主主義対独裁主義」ではないかと思われます。

図2 自由の女神
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その対立の基軸が動き出すのが、この“ロシアーウクライナ戦争”の結果によるところがはなはだ大きいものと思われます。

私たちはこの“ロシアーウクライナ戦争”を心して見る必要があり、もしもウクライナが勝利することがあれば、対立の基軸形成は遅れることが想定されますが、逆にもしもロシアが勝利することがあれば、対立の基軸形成は一気に進むことが懸念されます。

そしてそのとき満を持して力を蓄えてきた中国が、一帯一路構想の中、どれほどの国を引き連れて対立の基軸形成に動くかが注目されます。

ロシアを中心とした“民主主義”に対する対立の基軸、中国を中心とした“民主主義”に対する対立の基軸、もしくはロシア・中国の2大国を中心とした“民主主義”に対する対立の基軸形成がなされるかもしれません。

民主主義諸国の結束と、強い意志の発露がこれから求められることになるものと思われます。第二次大戦で分かったように、宥和政策は一時的には平和がもたらされるかもしれませんが、必ずそれは野望を持つ者によって破られていきます。

したがって、ロシア・中国の2大国が結束して「独裁主義」的主張を声高に主張する時、民主主義諸国がそれに負けないように「正義」を主張できるかがすべてを物語るものになると思われます。

いずれにしても、「ロシアーウクライナ戦争」の結果を注意深く見ておく必要があります。

明治維新以後、77年が戦乱の時代だとすれば、第二次世界大戦以後の77年はほぼ平和の時代だったと総括できるのではないでしょうか。

ここで世界史的に見てとても興味深いことが分かります。

明治維新の1868年~1945年の77年間は、江戸時代で鎖国に眠っていたアジアの“日本”が勃興し、“清”、そして大国“ロシア”を撃破し、国際連盟の常任理事国になったことであり、これは世界史的に驚愕に値することではなかったかと思われます。

そして戦後の日本は、1945年~2022年の77年間、世界の経済大国と一世を風靡し、そして衰退をしていった、これも世界史的に稀に見る驚愕に値することではなかったかと思われます。

歴史は延々と続いていますが、近代世界史は世界が強権・覇権の場と化し、18世紀以降、世界は力による競争へと進んできました。

最初にイギリスが産業革命に成功し、次にアメリカが勃興し、20世紀後半には彗星のように日本が勃興してきました。

思えば、近代社会で世界を駆け抜けてきたのは、イギリス・アメリカ・日本ということになります。

これらの勃興国は全て、資本主義・自由民主主義国であり、共産主義国・独裁主義国ではありません。

これからの歴史を想像してみましょう。

中国・ロシアが一方の覇権国として世界に君臨した場合、これまでの歴史の必然性は覆されるでしょうか。すなわち、資本主義・自由民主主義国は滅び、共産主義国・独裁主義国が世界を席巻できると考えられるでしょうか。

しかし、これらの主義・主張国間で雌雄を決する大きな“戦い”が一度起こる可能性があり、それは地球を滅ぼすほどのものになるかもしれません。そうならないように、私には祈ることしかできませんが、現在の“ロシアーウクライナ戦争”は、今後を占う、非常に大切な戦争になるのではないかと思われます。

そして現在、イギリス・アメリカ・日本は結束し、資本主義・自由民主主義へのチャレンジャーへの備えを始めています。

これからのことを考えると、自衛として、食料・食品の自給能力が極めて大切になってくることが予想されます。

穀物自給率30%では、日本の生存は期待できません。家庭菜園を愛し、自給自足が少しでもできるように、国民一人一人が今後考えていくことも必要ではないかと思われます。

少し長くなりました。未来予測、これからの食料問題等については、また後日述べさせていただきたいと思います。

図3 未来
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